タレントの勝俣州和氏が、番組内で松本氏問題について、「文春で告白する女性たちが大体、同じ言葉を使うんですよ。『システムが確立されていた』とか。システムという言葉が私たちの中に残ると、たむら君とか松本さんが悪徳なチームに思えてくるんですよ」と興奮状態で大声で話していた。

 11人の女性が告白しているようだが、本当にその女性たちの大体が「システムが確立されていた」という趣旨のことを語っているのか、まず事実確認が必要だ。断定した表現で情報としてテレビを使って全国に伝えることには非常に大きな責任を伴う。もし誤情報であれば、番組内での訂正が必要であろう。

 勝俣氏の言うことが仮に事実であり、本当に大体の女性達がシステムがあった旨のことを話していたとすれば、松本グループがいつもやっていたことであるためにスムーズさや慣れを女性たちに感じさせたのであり、それは自然の流れであろう。勝俣氏は、松本グループの面々が、松本氏に女性をつけようとしていたことが信じられなくて女性達の証言を一方的に攻撃したのかもしれないが、被害者や加害者の証言が事実かどうかの判断は裁判所に任せるべきだった。彼の発言は、不公平で、仲間の擁護と取られても仕方がない。立場的に彼も松本氏側なのだから(松本氏は親分である和田氏の親友であり、仕事上の利害関係者)、そのような人は自分が思ったことは口にしないほうがよい。さらに言うなら、結果的に勝俣氏の発言は、国民全体をだます(松本氏側に誘導する)ことにもつながってしまう。

 続けて彼は「これは言葉の誘導で僕たち見る側も自分の中でちゃんと選択しないと(いけない)」と話す。被害者の証言は、果たして「言葉の誘導」なのだろうか。また、「ちゃんと選択云々」と言われても、「アッコにおまかせ」で、「平等に報じなければいけない」と司会者が言いながら、松本氏の(日常の)良い点のみを仲間に語らせ(松本氏が不利になるような日常のことは決して言わない)、勝俣氏などが被害者たちの証言について力強く大声で疑いを呈するような番組をつくっておいて、それを見た国民はちゃんと公平に選択などできるわけがない。彼はどこかで聞いた建前(理想)と自分の本音がごちゃまぜになっているように見える。

 意図的か能力かわからないが、芸能人(の一部)って本当にひどいと思う。テレビ局同様、絶対に忖度や不公平をやめることができないだろう。公務員や会社員は、同僚でも無感情で罰していく(処分される)。芸能人やテレビ局員はあまりにも幼く、社会常識や社会人マナー、コンプライアンスから隔離された独特の世界で生きる「昭和の落ちこぼれ集団」のように私には見えてしまう。

 本当にテレビ業界やそれになりふり構わず何でもありで必死にしがみついている一部の芸能人達を浄化、改革したいのであれば、まずはテレビ局が逃げ切ったジャニーズ事件に立ち返り、第三者委員会による公正・公平で詳細な内部調査と記者会見発表を行うところからスタートしないと、松本氏問題や「セクシー田中さん」問題、(元)ジャニタレ優遇措置等々、今後も忖度や癒着、不正やごまかし、芸能人による不適切な言動を積み重ねていくだけであると私は確信している。「反省なしに進歩無し」である。歴史に残るほどの大きな問題であったジャニーズ事件について、テレビ局や仲間の芸能人たちが、一切ごまかさずに「真の反省」ができるかどうかにすべてがかかっている(これが今後ジャニタレや仲間芸人に一切忖度しないということにつながる)。