私は、戦争か病気で亡くなるストーリーのドラマはつまらないので、見ないことにしている。

 何回かドラマを見てきてすでに感情移入している登場人物が戦争や病気で亡くなることは、視聴者にとって、とてもつらく悲しいことである。心が動かされ、涙も出るかもしれない。しかし、それは決して「感動」ではない。葬式の時に参加者が泣くが、それは決して皆感動しているのではないのである。

 戦争や病気で亡くなるシナリオは、長年多くのドラマで使われてきた陳腐で安易な展開で、独自の脚本を考える必要もなく、簡単に視聴者を引き付けられ(ドラマが魅力的だからではなく、見て知っている人が亡くなるのか気にさせて見るようにしているだけである)、視聴者を悲しませ泣かせることで「感動した、いいドラマだった」と錯覚させることができる、最も簡単で愚かな手法で、そのようなドラマを個人的には軽蔑してしまう。

 いま、NHKでやっている「ブキウギ」は、母が病気で亡くなり、弟が戦争で亡くなり、婚約者が病気で亡くなり、それらでしばらく引っ張り、その合間に同じ歌ばかりが流れるストーリーで、視聴者をバカにしているというか、限度をはるかに超えている。制作側はかなりの強靭な精神力の持ち主だと思う。朝ドラは数十年間見てきたので、これだけは我慢をしてみてきたが、まだ最終回ではないが、もう見るのをやめようと思う。

 特に脚本家は新しくて魅力的な展開が一から考えつくような人がなったほうがよいと思うのである。