能登半島地震が発生した1日、岸田首相が自衛隊派遣を決めたのはその日の夜で、その人数は千人だった。あまりにも少なすぎる。能登半島で倒壊した家屋は、おそらく数万軒である。十万人の間違いであろう(東日本大震災の時にも1週間後には十万人の自衛隊員が救助に当たったので、人数が足りないわけではないはずである)。この政府の初動ミスで、72時間以内に救出できる人数が決まってしまった。どんな政策、どんな対応でもそうだが、政府のメンバー(政治家)は専門家ではなく、いかに能力がないか(人気投票の選挙で選ばれた素人たちということを)自覚して職務に向かわないと、一般市民以下の判断、行動をとってしまうことになる。自覚することで、怖さのために様々な予防線を張ったり、あらゆる事態を想定して事前準備をしたりすることが可能となる。傲慢さがあれば、ゆがんだプライドがあれば、必ず抜け落ちが生じ、場当たり的で後手後手で不適切な対応しかできなくなる。
初動の遅さと言えば、47都道府県のレスキュー隊や警察などもすぐに向かったのだろうか。崩壊した家では助けに来るのが順番待ちになっていて、今日現在でも300人以上が行方不明となっている。72時間を過ぎ雪も降った。これから救出しても生存は厳しいものがある。こうならないために、発災翌日には全国から自衛隊、消防、警察、土木会社などが向かうべきだった。
通行できない道もあるが、遠回りをすればほとんどの地域には行けるようだし、孤立している集落へは、学校のグランドなどからヘリで向かえばよい。ヘリがなかったというのであれば、ヘリを用意しなかっただけである。全国には利用できるヘリは数百はあったであろう。様々な方法で72時間までは、日本全国の力を120%集中させれば、多くの命を救えたと思う。日本の国力を見ると、人材や機材が足りないということなどあるわけがない。情報収集能力の問題か、対応力の問題か、そもそも振り分け部署や災害統括が存在していなかったか、できる範囲でほどほどにやろうと思っていたかのいずれかであろう。
5日目から大規模救助が始まったとか、今日から全力で救助に当たることになっているというが、すべてが遅い。5日目からであればむしろ倒壊家屋での救助活動人数を減らして、その人数を道路や電線の復旧や避難所の環境改善に向かわせる時期でなければいけない。いや、全国の各自治体から医師や看護師、役場職員、警官、機動隊などが数人ずつ集まり、倒壊家屋からの救助と並行して発災翌日から避難場所での対応をすることも可能であったはずだ。
雪の中、必死になって少ない人数で救助に当たっているようだが、タイミングも人数も何か違う感じがして、もったいない思いである。