羽田航空での事故当時の機内の様子が、乗客のビデオなどで次第にわかってきた。

 8つのドア付近を8人のCAが担当していた。機長やCA同士の連絡は機材の故障で使えず、煙も充満してCAも機内の他のエリアが見えにくい状況だった。そうであれば、5分以上乗客をその場に座らせたり床に低くかがむように指示をして待機をさせておくのではなく、CAが担当の場所から外を見て炎が見えなければすぐにそのドアを開けて近くの人から、どんどん外に出すのが適切であった。全体を確認し全体で情報を共有しどこのドアを開けるか決めてから実行に移す必要はない。 煙や熱がやってきていつ爆発してもおかしくない状況下でそんなことをやっていてはいけない。実際、そんなことはできずに一番後方右のドア付近のCAは最後に自分の判断でドアを開けて乗客を外に逃がした。それができるなら5分以上も乗客を危険にさらしたりせず、すぐにやらなければいけなかった。

「どこのドアを開けられるか確認してからでないと、火が機内に入ってしまうからCAの行動は適切で素晴らしかった」とコメンテーター達は口をそろえて言っているが、それは論理的におかしいことだ。窓から外を見て近くに火がなければ開けられるのである。だからすぐにそこから降ろせばよい。それを各ドアのCAがやるしかないのだから。その情報をCAたちが全体共有するまで待っていることはないだろう。それをやっているうちに、開けられないドアの付近の乗客たちもやってきて逃げられるので混雑も防げ効率的である。

 映像や乗客の証言から、CAの良い働き掛けがあったこともわかっている。しかし、良い点がいくつかあっても、それによって効率の悪い危険な行動もあったことを否定することはできない。CAの動きについて十分検証し、今後同じことが起きた場合に備えてもらいたいと思う。

 あえて責任がどこにあるかを指摘するのであれば、CAはマニュアル通りやったのであろうからCAにあるのではなく、そのように指導したり訓練をしていた会社側にあるということになるのだろう。