一般的に飛行機の着陸時に事故が発生し飛行機の停止と同時に避難をする際、CAはまず乗客に座るように指示を出すようだが、乗客の話によると今日の事故でもそのような指示だったという。停止後機内は煙が発生し炎の熱で熱さを感じ翼のあたりは真っ赤になっているのに、CAは「座ってください」「頭を下げて」という指示を出している。そのCAたちに対して、小さな女の子が「早く出してください」、「ドアを開ければいいじゃないですか」と繰り返し叫んでいる映像も公開されている。事故機の乗客の話によると、CAから「(入り口から)出て」とか「逃げて」といった具体的な避難指示は5~10分間はなかったという。あのような状況で何分間もだまって座って待っていた乗客たちはすごい。私だったら耐えられなかったと思う。私がその場にいたら、前の入り口を指さして「そこはまだ炎がきていないから、すぐに開けてどんどんおろして」「迷っている暇はない!」と叫んだかもしれない。
欧米のテレビや専門家たちは全員が助かったのはCAの指示がよかったからというが、それは不適切だろう。結果がアンラッキーにならなかったからと言って、CAの行動がよかった、すばらしいなどとはならない。爆発が起きたり機内に火が入ったりするまでにたまたま時間があったため、運良く助かったに過ぎない。一気に燃え上がり火に包まれたら一人も出られなかっただろう。どちらに転んでもおかしくない結果だった。だから、このような場合にはベストな行動が必要なはずである。
そもそもCAは若い女性が多く、40代~50代のベテランは少ない。しかも事故の経験などした者はほぼおらず、無経験で若いギャルがやっている印象だ。そのような人たちに数百人分の命を任せること自体、やってはいけないことだと思う。CAの重要な役目は、お茶くみではないはずだ。命をあずける相手として、外見のきれいさも年齢的な若さも、私はいらない。少なくとも10年以上(できれば20年以上)、全ての事態に対応できるように避難誘導の訓練を徹底的に受けてきた者だけが、数百人の命を預かる資格があると思う。CAの仕事はバイトでもできる「お茶くみ」のようなものではないはずだ。
航空会社としても、とりあえず「座ってください」という指示ではなく、もう1度あらゆる状況のシミュレーションをして、ケースごとにCAの呼びかけや具体的指示内容、行動を検討したほうがよい。CAの研修についても、10年以上の長期にわたる厳しい脱出訓練や研修が必要であり、合格した者だけがCAになるようにしたほうがよい。
個人的にはCAが女性である必要もなく、力や判断力、行動力もある男性(レスキュー隊やSPのような男性)でもよいと思う。とにかく数百人の命を任せられる能力のある人であれば、性別も年齢もどうでもよい。だって、誰も人災によって死にたくはないだろう。ターミナルの中を若い女性CAたちがランウェイを歩くようにさっそうと歩いているが、私はあまりいい感じがしない。身の程を知っているのだろうか。
今日の事故から航空会社が学ぶ点は非常に多い。機械は必ず故障を起こし、人間は必ずミスをする。それに当たった時、死に直結してしまうのが飛行機だ。だから私は数十年前に1度しか乗ったことがない。その中においても、死亡する確率をできるだけ減らすために、これまでの常識を変えてCAの存在意義や位置づけを問い直したほうがよい。乗客も、きれいな人から飲食の提供をしてもらいたいのであれば、飛行機を降りて地上についてからキャバクラか高級レストランにでも行けばよい。命をかけてやってもらうことではないだろう。
昨日の時点でCAができるベストな行動として、前方にいたCAが窓から外を見るとまだ横(飛行機の前方)には炎がなかったはずだ。しかも機内の後方から乗客がやってきている。機内には煙が発生し温度も上昇中だ。そうであれば、後方の状態や炎の全体状況がわからなくても、とりあえず前方のドアを開けて近くの人からどんどん降ろすのがよかったであろう。CAは分かれて機内にいると思うが、例えば右後方に炎がなければそこを開けておろせばよい。脱出スライドに炎が近づいてきたとしても、すでに機内が燃えて移動ができなければ降りなけばばいけない。つまり昨日のような1秒を争うような時には、その場所に応じたCA一人一人の的確な素早い判断と行動が必要だったと言える。
繰り返すが、昨日は本当に運がよかっただけである。乗客が全員降りる前に、たまたま爆発や大炎上が起きなかっただけである。偶然の結果である。火の回りが遅くて本当に良かった。
あえて言うなら、全員助かったのは乗客が自主的に落ち着き助け合って行動した国民性による要因も大きいと思う。乗客たちは、パニックになっている人に声をかけ、押し合うことなく順番にスライドから降り、地上に降りた者は次に降りてくる人の手伝いをしたという。欧米のメディアは、そこがわからず、CAをたたえている。今後のためにも、正確で詳細な検証が必要である。