ラジオを聞いていると、ここ1週間ほどは日に複数回、山下達郎氏の「クリスマス・イブ」が流れていた。

 素敵な曲なのでうれしいのであるが、この曲を聞くたびに、ジャニーズ問題に絡んで「私の姿勢を忖度あるいは長いものに巻かれていると解釈されるのであればそれでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と捨てゼリフを吐いたことがよみがえり、気持ちよく聞くことができなくなった。彼は自分でも語っているように「縁」を大切にするので、ジャニーズに対しても忖度をするようになる(自然とそうなる)ので、私には彼の音楽は必要ないということだろう。しかし、音楽などは制作者から離れ、国民一人一人の人生の歴史、記憶となっており、それを否定することは、人生の一部分を消そうという恐ろしい行為だと私は思っている。「クリスマス・イブ」は山下氏が作り歌っていることに変わりわないが、だからといって人々の人生とリンクしている物を勝手に切り離したり人生の一部を奪うようなことはしてはいけないし、触れてはいけないことだ。

 山下氏には、「縁でつながっていた喜多川氏の行為を正当に評価しろ」とは言わないが、せめてこれまで出してきた自分の曲は、すでに多くの人々の人生の一部となっているのだから、それらを否定した発言(「私の音楽は不要でしょう」)だけは撤回するべきであろう。

 モヤモヤが残ったクリスマス期間であった。これから毎年続くのだろう。彼の誠実さを信じたい。