昨日の会合で、岸田総理が「国民に大きな疑念を持たせていることを謝罪します」と話していた。

 政治家は、「国民に誤解を与えたことを謝罪する」という言葉もよく使う。

 不適切な行動について謝罪するのではなく、国民が勝手に勘違いしていると悪者(愚か者)扱いし、それを上から目線で自分が勘違いをさせたようで申し訳ないと謝って見せて、逆に自分を立派な存在だと印象付ける。

 先日もこのようなことがあった。高市早苗議員は先日の記者会見で、裏金疑惑について「国民の皆さまから疑念を持たれ、政治への信頼を損ねる事態となっていることに強い危機感を感じている。党所属の政治家として心からおわびを申し上げる」と謝罪した。彼女は無派閥で今回の疑惑に関係がないのに、他人のことで謝って見せた。一般社会の中でもこのようなことを言いたいと考えつく人はたまにいるだろうが、もしこのようなことを言ったら自分を大きく見せよう、高潔な人物だと思ってもらいたいという自分の恥ずかしい魂胆に気づく人がいるだろうと気付き、思い直して言うのをやめているのが実情だろう。彼女は、大勢の前で堂々と言ってのけた。私は、これが政治家なんだなあと、ストンと腑に落ちて、妙にすがすがしい気持ちになった。

 利用できるものは何でも利用しようという政治家たちの根性に、感服の念さえ抱いてしまう。政治家になる人は、善悪は別にして、やはり一般市民とは異なる選ばれた特異な才能の持ち主たちなのだろう。