根拠を示した健全な批判(事実)に対しても、「それは誹謗・中傷だ」と言えば、相手を悪者にしてこちらを正当化できるようになってきた。
もちろん非難をする際には限度を超えた法に触れるような表現を使うことは論外である。
まだはっきりしない危険なことをやっている人や業界に対して疑問を呈することも、「風評だ」と言えば、疑問がなく大丈夫だということに社会的になってしまう。
もちろん根拠も蓋然性もない、ただの悪口や誤った主張、意図的な嘘の主張もネット上にはたくさんあるが、本当の適切な批判や合理的、論理的な反論もたくさんある。それを、「誹謗」、「中傷」、「風評」などといった言葉を免罪符代わりにして、自分を正当化したり不適切なことや悪事を続けたりしている人が多くいることも事実であろう。これは、言い換えれば新手の逆「誹謗・中傷」とも言える。この点をマスコミでは一切指摘や報道がなされない。意図的なのか、気が付かないのか、よくわからない。
今、世の中は「誹謗だ、中傷だ」と言ったもの勝ちになってしまっている。テレビ局は、情報の正確性について番組で特集する場合には、「誹謗・中傷だ。風評だ」という言葉を発した側を事実と見てその対策を伝えるのではなく、個人個人が対照的な主張を必ず含め広く情報を得て多様な視点から検討するように伝えることが重要であろう。ジャニーズ問題で、第三者委員会による自主検証から逃げ切ったようなテレビ局の情報や主張なども、そのまま鵜吞みにしないということだ。