嘘でも100回聞けば、本当のことだと思えてくる。隣に住んでいる普通のおじさんでも、毎日テレビに出てテレビ局(や制作会社)の演出に乗っかっていれば、素晴らしい芸能人だと思えてきて、全国的な有名人になる。
特に15年ほど前から、なぜこの人がM1で優勝?、なぜこの人が突然こんなにテレビに出てくるようになったの?、なぜこの人が・・・、ということが起こり始めた。つまり、芸能事務所との癒着によって、テレビ局がゼロから大きな虚像を作り上げるようになってきた。これは決してジャニーズ事務所に限ったことではない。お笑い界にもあることだ。
この構造は、ドラマや歌謡番組、バラエティ番組、そしてニュースや情報番組(キャスターやコメンテーター)まで入り込んでいる。つまり今のテレビ番組のほとんどが、テレビ局と芸能事務所との癒着(圧力や忖度、ハワイ接待等)によって作り上げられた大きな虚像だと言える。このような実力主義から離れた状態をやめようということで、「メディア業界の生まれ変わり」を第三者委員会から提言されたのではなかったのだろうか。
その先頭に旧ジャニーズ事務所が立つよう期待されたが、芸能事務所の上にあるテレビ局だけが反省もせず(第三者委員会の社内調査を拒んだり、都合のいいように自分たちで結果を発表したりなど)、いまだにジャニタレドラマやジャニタレ司会の歌謡祭ばかり作っていては、メディア業界の改善など、むちゃな話である。
喜多川氏による被害者に対しては現在補償交渉が続いているようだが、それがもたらしてきたメディア業界における忖度や圧力などの癒着関係、大きな芸能事務所だけが実力に関係なくタレントを使ってもらえるという構図は変えられなかった。私には、喜多川氏の事件は個人的な問題で(個人の犯罪)、それに付随して起きていた「不公平・不公正なゆがんだメディア業界」の問題のほうが、社会や国民にとって大事件だと感じていた。しかしテレビ局はこれまでと何も変わらず、大改革のチャンスとなるであろう次の大事件が起きるまでの数十年間は、このまま突き進んでいくのだろう。残念である。
わずかな期待もまだ残っている。NHKだけが、これまでのジャニタレ一択とは異なった番組作りを、発覚から数か月たった今でも貫いている。NHKも第三者による自身の検証は行っていないが、その後の内部の話し合いなどで「真の反省」が社内全体でできた可能性もある。NHKのある番組に、ゲストとして毎週知らないジャニタレ(数あるジャニタレグループのうちの1人)が必ず1人、交代で出てくる番組が9月頃まであったので、私が「ジャニーズ枠を設けることはどうなのか」とNHKに投書したことがあり、その数週間後から今までジャニタレは1人も出ていない。いずれにせよ、もう少し見てみないとわからない。