パワハラをしているという市長の音声が情報番組で流れていた。市長室でこっそり録音している職員は、市長のパワハラを録音したくてやったことだろう。録音時、できるだけ市長に暴言を言わせたい、言わせるようにしようという心理が働けば、それに応じた行動になるのは当然である。実際職員は、市長がもっと怒るような(煽るような)言葉を所々で言い返していた。だから、この手の録音テープや情報番組は、公平・公正の立場から話半分に見ていたほうがよいと思う。「たたかれてもいいようにヘルメットをかぶっておけ」といったような旨のことも発言していたようだが、ここまでくると実際やるわけもなく、昭和の親父のジョークだ。
市職員に対する市長の言い方は、今の時代においては行き過ぎだと思うが、内容的には不適切だと感じなかった。表現方法が昭和なので、そこを変えなければいけないだろう。
私の個人的な印象では、市長は市や市民のために努力していこうと思っており、職員は市の公務員なんだから今までのようにルーチンワークをやっていきたいと思っており、このすれ違いが対立を生んだように感じる。
市の職員は、官僚や都市銀行員、教員、商社マンのように休みなく働き続ける仕事でもないし、市長が言うように数か月やったパートのおばちゃんでもできるような仕事が多い。それを今後もマイペースでやりたいと思うのもわかる。給料が同じなのに、必死に働き深夜まで残業する意味がないからだ。だから、他の業種で生きてきた市長などにとっては、あまりにもぬるま湯の環境を目の当たりにして怒り心頭なのかもしれない。
では、どうすればよいか。市長でも総理大臣でも校長でも、重要なのはメインの仕事だけではなく、組織や部下のマネージメントも同じくらい重要だということを認識する必要があるのだろう。そもそも、部下が反抗し組織が崩壊していれば、メインの仕事の目標も達成できないのだから。市長の言い方は、昭和の時代には普通にあったことだが、今は時代が違う。今は、どのような言い方や扱い、指導やジョークがアウトなのか、研修などで学ばなければいけない。年配の上司(昭和の人)の多くは、今は何がダメなのか知らないと、言ってしまうのは当然だ。
今は、職場で男性が女性に対して「かわいいね」「きれいですね」というのもアウトになる時代だ。そうかといって、職場で女性が男性に対して「かっこいいですね」というのは実際セーフとなる(「すてきですね」はどうなのだろう?)。日本におけるコンプライアンスは、まだまだ矛盾も多く整備の発展途上だと思うが、私が気を付けていることは「アウトになるかどうかわからないことは言ったりやったりしない」「年下に冗談を言わない」ということである。
いずれにせよ、昭和のおじさん、おばさんたちが現代の知識を得て変わるしかないのである。