大谷選手が、日本全国の小学校約2万校に約6万個のジュニア用グローブを寄贈するという。

 一方的に送られても、教育委員会や学校は、困らないだろうか。学習指導要領や教育内容、学校ごとの教育課程がある。いいのだろうか。

 誰かにもらったものだからといって、勝手に学校教育において使ってもよいものではないし、例えば休み時間に使わせるとしたらそれによって子どもたちの将来の職業への関心が野球に傾いてしまい、他のスポーツや日本における理化学・工学系分野が弱くなる可能性もでてくる。野球だけに偏って環境を作ったり指導したりすることは、学校としては不適切である。

 学校教育に関係のない全国の野球スポーツ少年団に寄贈したり、使いきれないほどのお金があり子供たちのためになれば何でもよければ文科省に寄付して各学校内のネットワークやICTを充実させることに使ってもらったりするのがよいと思う。日本の野球界の発展を望むなら、野球博物館のようなものを建ててもよいだろう。いずれにせよ、学校教育において日本の全ての子ども(将来の全ての日本人)を対象に、一個人が好き勝手に法的根拠のないことを強制的にやってはいけない。99パーセントないことだが、将来大谷選手が何か大問題を起こした場合、その人物の寄贈品で小学校時代を楽しんできたという思い出を残してしまう可能性だってなくはない。世間は大谷選手を「神」扱いしすぎている。

 文科省は、断るなら早いほうがよい。