TBSが、ジャニーズ事務所との関係検証に外部弁護士を招いて、中立的な立場で社内調査をする。
ごまかされてはいけない。これには巧妙なトリックがある。一見、ジャニーズ事務所で最初に行った第三者委員会による調査・公表を思い起こさせるが、ジャニーズ事務所の場合は聞き取り対象が性暴力を受けた被害者であったから調査にあたった弁護士たちは具体的で詳細な結果を多く得られた。しかしTBSの場合、弁護士による聞き取り調査の対象は、できるだけ社の被害を小さくしたい(社長や幹部を温存したい等)、何とか隠したいと思っている加害者側である。もしTBS社長がジャニーズ事務所の人間から直接何かを言われて脅されその通りにしていたとしたら、TBSの社長は正直にその言葉を弁護士に話すだろうか。答えはノーである。だから、いくら多くのTBS社員から聞き取り調査を行ったとしても、社員たちは本当にまずいことは話さずに隠すだろう。ガス抜き程度に受けた圧力について少し話す程度に終わる。つまり全体として不正確な結果(嘘の結果)を弁護士が得てそれを公表したり、それを基にした提言を公表することになってしまう。つまり国民が騙されるという形になる。
そうならない方法がないわけでもない。テレビ局も、やってきたことはジャニーズ事務所と変わりはないのだから、TBSも解体的出直しを決意し、(元)社長や幹部たちが自ら率先してすべてを具体的に弁護士に話して身を引くことを公表するとともに、社員たちにもすべてを隠さず話すように訴えかければ、もしかしたらTBSの全ての社員が「大変なことが起きているんだ」と思って心を入れ替えて、調査をする弁護士に正直に話すという可能性もなくはない。
その場合、当然結果や提言の公表もTBSが番組内で語るのではなく(加害者は都合のいいようにカットしたり誘導コメントを付け足したりする可能性が高いため)、弁護士が会見を開いて詳しく説明し、記者からの質問も受けなければ正確性や公平性が担保できない。
他局のように、自主検証と、番組内での都合の良い部分だけの簡単な公表と、「重く受け止めます」の一言で反省を終わらせてしまうような茶番劇をやるだけであれば、やらないほうがよいだろう。
TBS社長の覚悟次第で、もしかしたら全てのテレビ局の解体的出直しに向けて扉が開く最初で最後のチャンスとなる。テレビ局社員も、数十年間の罪を清算し、今後はジャニタレ一択の硬直化、画一化された忖度番組作りをやめて、公平・公正で実力主義、視聴者第一主義の豊かなテレビ番組作りをしたいに決まっている。私はそう信じている。