かたくなに第三者委員会による社内調査を拒み続けるテレビ局が、最近自分で社内調査を行い、仰々しく公表番組を放送するようになった。
加害者側(テレビ局)が自分で調査・公表するということは、ごまかして責任を逃れる行為であり、やってはいけないことである。例えば、テレビ局の社長が直接ジャニーズ事務所から脅迫まがいの言葉を言われていたとしても、社長がそれを社内調査で言うはずもない。そもそも社長などにはインタビューさえしないだろう。本当に都合の悪いことには触れず、ほどほどの物だけを発表して実態をごまかし、今後については「反省します」や「重く受け止めます」などの一言で全てを終わらせようとする。被害者への補償や社長・関係者の処分、ジャニタレ優遇措置の解消など、実質的な責任は一切取らないだろう。これが、加害者が自分で自分のことを調査したり、今後の提言を自ら出すということである。当たり前のことだ。
こんな調査や検証番組をやったら、今まで以上にテレビ局は責任逃れで全く反省していないと国民から思われるだけなので何もしないほうがまだよいと私は思うのだが、テレビ局は実際に自分たちで社内調査をやっている。そうであれば、もしかしたら国民の多くはこのようなテレビ局による茶番劇を見て「テレビ局は真摯に社内調査をして反省したんだな」と思うようになっていて、テレビ局はそれを狙ったのかもしれない。
テレビ局の悪事(性暴力のほう助)に悪事(悪意を持った不正確な検証)を重ねるような行為について、おそらく新聞社や雑誌社などテレビ局以外のメディアも批判をしないだろう。国民もすべてのメディアも、どういうアンテナを持ち、何を考え、何を目指しているのか、私にはよくわからない。
数十年続いてきた日本のダークな慣習を変えられる大チャンスであった。しかしそれも、テレビ局の思考によって握りつぶされるのだろう。そして、また世界から遅れた日本の悪習が、今後100年近く続くことになる。
「テレビ局は恥を知れ」と言いたくなるが、テレビ局の人々はアンテナの性能が悪いのに傲慢なため(ゆがんだ自信やプライドを持っているため)、自分自身を知ることはおそらくできないだろう。