女子バレーは、日本がブラジルに負け、今回はオリンピック出場の切符を逃した。

 敗因は前回のブログで書いたことができていなかったというのもあるが、最も大きな敗因はプレーで言えばトスの半分くらいがうまくできなかったことだろう。

 ネットから離れすぎる地点や近すぎる地点にトスを上げるので、威力のない軽いアタックやプッシュばかりで相手にパスし、相手からの強烈なアタックを食らうというループだった。トスを上げる役割の二人目の選手に早く変えたほうがよかったし、その他の5人のメンバーもトスがこれまでになく適切な地点に返せていなかった。これができていれば、リードができたと感じた。

 それでも日本は、5セット目の10対10まで何とか持ち込んだ。そこから連続で5点取られて負けた。私が監督であれば、10対10の時点でずっと勝ち進んできた基本の6人のメンバーに戻したと思う。日本人は、個のフィジカルや能力はどうしても他国に劣る。次々とメンバーを変えるとまとまりが無くなり組織力がおち、個人の能力だのみとなってしまい、日本の強みを失うことになる。雰囲気を変えるため、一時的に1~2人を変えることはよいが、そのままずっと使い続けるのはよくない。実際、それが原因でブラジル戦はバラバラになっていった印象がある。

 監督は試合後、勝ちへの執念がブラジルに劣っていたようなことを選手たちに話していた。私は監督と違う。「勝ちへの執念(勝ちたいと思う気持ち?)」ではなく、実力を出し切るためには私がブログで何度も話してきたように、「負けまい」と思うことが重要だと思う。しかし選手たちは、勝ちたい、勝たなければという思いを持ってしまい、緊張して実力が出せずにミスや単純な攻撃、下手なトスなどをして負けた。勝ちへの執念をさらに強く持ったら、ますますそれにとらわれ、「ミスしたらどうしよう」と思い、もっと緊張してミスだらけのボロボロの試合になるだろう。これまでの全試合を見れば、日本には可能性としてすべての国に勝つ力はあったと思う。今後は、どうやって実力を120%出せるようになるかがカギとなるだろう。つまり精神面をどうするかということだ。

 セルフコントロールについて、科学の力も借りて、分析、訓練を徹底してもらいたい。試合には精神面に関する適切な声掛けができることに特化した専門家(メンタルの研究者や熱血教師、お坊さんなどでもよい)も同行させるのがよいだろう。気をつけてもらいたいのは、闘志むき出しのブラジル選手をまねするのではない(目つきや顔つきなど)。日本流の精神力を高める方法がある。

 それから、チームの雰囲気づくりにふさわしくない選手もいたように思う。そのようなことも練習中にみて、長い時間プレーさせないようにすることも必要だ。とにかく、今回負けた原因をあらゆる視点から徹底的に分析し、二度と繰り返さないことが重要である。