NHKの「クローズアップ現代」で、ジャニーズ問題においてテレビ局がなぜ黙認してきたのか独自調査の結果を放送していた。NHKや民放の当時のプロデューサーなどにアンケートやインタビューをしていた。そしてこれからも調査をしていきます、とまとめていた。要は、「私たちは正直に当時のことを話しましたよ」、「これからも調査をしていきますよ」というアピール番組だった。
ゲストとして出演してた弁護士は、第三者委員会をつくって調査をすることと局内の組織改革を提案していたが、おそらくNHKはどちらもやらないだろう。本当には反省していないからだ。正確に言うと、心からの反省はできないからだ。なぜかというと、そういう文化で生きてきた日本人にとって、ハラスメントはだめだとか、忖度なしに公平・公正が大切だ、コンプライアンスが・・・などと、どこかで聞いたことがあるから「そうなんだ」と思っている程度で、問われるとそれらの受け売りの言葉を発っすることはできる。しかし先進的な他国の実態を見て比較したり、道徳教育のように長期にわたって学校や家庭で学ぶことなしに、その悪質性について「実感を持つ」ということは不可能で、ゆえに心から反省するということは不可能なのだと思う。数千人が被害を受けたから悪いことだったのではなく、被害者が一人でも事の性質、悪質性はかわらない。被害者数によって性暴力や不平等(忖度)を続けるか続けないかを判断するというのは、(アプローチの仕方が)違うのだろう。
いずれにせよ、NHKは内部調査を第三者に任せるのを嫌がり、加害者である自分たちでやろうとしている。意図は1つしか考えられない。自分たちがあまり不利にならない程度に自分たちで調査をし、お茶をにごして終わるのだろう。(調査や反省を)やったふりをしていい子ぶるのは、自己調査すらしない民放より、タチが悪いと私は思う。
NHKや民放テレビ局は、事実を知っていて黙認し忖度しつづけ、これほどの大事件にしたことは、喜多川氏を除くジャニーズ事務所とやったことは変わらない。被害者に対する損害賠償は、ジャニーズ事務所とテレビ局が半分ずつ出すのがよいだろう。それから、責任者をはっきりとさせ処罰するという意味で、ジャニーズ事務所同様に各テレビ局の社長やNHK会長も、辞任するのがよい。
テレビ局は、①第三者委員会による内部調査、②内部の組織改革、③損害賠償をジャニーズ事務所と折半する、④現社長が辞任する、の4つまでやってはじめて、ごまかしや自己保身の無い本当の改革に向けてスタートがきれると思う。これなしに偽善的な改革をはじめてみても、穴だらけの表面的な誤魔化しの結果にしか至らないはずである。