ジャニーズの性加害問題再発防止チームの会見について、どの局も今朝から詳しく報道している。私の印象として、テレビ局はまだ反省していないというか、よくわかっていない感じを受けた。

 どの局も、テレビ局が沈黙してきたことが被害をさらに大きくしたとの指摘を「重く受け止めていきたい」と述べている。自分たちの仕事の使命に反し、ジャニーズへの忖度から大変な犯罪行為の事実を意図的にもみ消してきた謝罪の言葉は決して言わない。

 さらにこの数か月間、ジャニーズ事務所は仮にも自分たちで調査を行ってきた。テレビ局は局内で誰が喜多川氏の犯罪行為を知っていたのに黙認していたのかの聞き取り調査や、なぜ歴史に残る大犯罪を追及できなかったのかの社内検証をすることもなく他人事のように立ち振る舞い、ひたすらジャニタレ番組作りに邁進してきた。

 いまだにこのような態度のテレビ局が、公平・公正、人権尊重、コンプライアンス重視、ジャニーズ事務所忖度(ジャニタレばかりを多く出演させること)の禁止などへ変わっていけるはずがない。テレビ局に変われる可能性があるとしたら、①自分たちのやってきたことについて報道機関として謝罪する、②どのような責任をとるかを公表する(今後のことではなく、自分たちが原因で多くの未成年の被害者を長年出し続けてきたことに対する賠償などの責任の取り方)、③上層部をすべて社外からの人材に入れ替え、徹底的に指導を受ける、④今後テレビ局は具体的に何をしていくかを明文化する、というこの4つのことをやる他に方法はない。これをしなければ、おそらく国民の忘却を利用して、テレビ局は今後もこれまで通り、ずる賢く生き抜いていくだろう。

 結論を言うと、私はテレビ局は変われないし(上に書いた4つのことはできない)、チームが思い描いたメディア全体が変わった世界にはならないと思う。芸能事務所には変わっていける可能性が感じられるが、テレビ局にはそれがない。もちろん今回のことを受けてテレビ局も漠然と「変わっていこう」とは思うだろうが、その真剣さやレベルが違う。

 

 チームの提言で2つ気になる所があった。1つは、一番の原因は喜多川氏の性的嗜好の異常ということだが、次に近くにいてそれを許していたメリー氏の名を挙げていた。もちろんメリー氏も悪いのであるが、メリー氏は喜多川氏の姉で身内である。家族に対して言いにくいことや会社のことを考えると黙認したことに理解はできる(賛成できないが、感情はわかる)。しかし、テレビ局は公共の電波を利用して世論を操作するなど、国家を動かしていく報道機関である。社会的使命がある。しかも、黙認してきた理由が自社の利益(視聴率や収入等)のためである。同情の余地はない。家族の一個人であるメリー氏よりも、テレビ局が果たしてきた役割や責任は比較にならないほど大きいと思う。もし順位をつけるとしたら、二番目に悪いのはテレビ局だと思う。

 もう1つは、聞き取り調査で数十人から話を聞き、そのうち現役のタレントはわずか2人だったという。ということは、現在も司会やドラマ、レポーターとして活躍している百人以上のベテランジャニタレ達(元ジャニタレも含む)のほとんどが、犯罪行為を黙認し数十年にわたって助長させてきたことを反省せず、この期に及んでもまだ知らん顔をしようとしているということだ。彼らも被害者の可能性もあるが、聞き取り調査ではプライバシーが守られていたではずである。2か月ほど前、「僕は何も言わないよ」、「合宿所で喜多川さんに大変お世話になった。ジャニーさんサイコー!」とあえて主張する元有名ジャニタレもいた。他にも、必死に喜多川氏の犯罪行為を隠そうとするベテランジャニタレ達が多くいる。このようなタレントたちが、これでもかと番組に出たおしている。これでよいのだろうか。この問題から逃げず、正義を貫き真摯な態度でこの問題にかかわったほうがよいと思う。ベテランジャニタレ達にもいろいろと問題があるのではないだろうか。