アメリカにおける黒人に対する過去のことや現在の差別の状況を子供たちに伝え、差別はよくない、やめようと教える。その結果、その知識を生かしてからかうように冗談(遊び)で差別をする。それを繰り返しているうちに本物となる。冗談でも差別を口にしない子どもでも、心の中には「黒人は差別されてきた人なんだ」「黒人差別される対象なんだ」という知識は厳然と存在し、それは遠慮や警戒にもつながる。その知識や気持ちを理性や道徳心で押し殺し平然を装って黒人と付き合ったとしても、酔って理性を失ったり喧嘩で興奮してタガが外れた時などには、持っている知識を口にするだろう。
もし人種差別の歴史や現在の状況の知識が全くない日本人の子どもが、白人と黒人の二人の子どもと学校生活を始めることになったとしたら、黒人に対して白人とは異なる意識や思いを持つだろうか。黒人だけ差別するだろうか。それは無理なことである。黒人に対するマイナスの知識がまったくないのだから。赤ちゃんは蛇を怖がらない。
わずかな遠慮や不安(自分の悪い言動に対する不安)も全くなく、日本人や白人と同じように黒人と接することができるようにするためには、現実を見て考える時、方法は一つしかないだろう。もちろん例外の人もたくさんいるだろうが、割合を考えるとそう思うのである。