全仏オープンテニスの女子ダブルスで、日本人選手がボールガールに軽く返した球が、ボールガールの肩あたりに当たって泣き、日本人選手がいるペア(もう一人はインドネシアの選手)は失格になった。ビデオを見ると、ボールガールがよそ見をしていたため球を取ったりよけたりできなかったようだ。日本人選手はボールガールの所に行って謝罪し、ボールガールにも笑顔が見えていた。しかし球を当てたということで警告となった。

 だが、そこで終わらなかった。対戦相手のペア(スペインとチェコのペア)は、「血が出ている」「泣いている」「失格ではないか」などと審判に猛抗議し、その後はベンチにすわって2人で下を向きバレないように笑っていた。大ごとになりボールガールも不安になってしばらく泣き続けていた。もちろんボールガールは血など出ていない。対戦相手は審判に嘘も伝えた。しかし対戦相手の抗議が通ってしまい、判定は失格に変えられた。

 他人をおとしいれ、それを見ながらこそこそ笑うなど、本当にひどい人たちだ。スポーツマンシップ云々以前の問題である。このビデオを、スペインとチェコの選手の親に見せて、あなたが育てたからこうなっていますよと教えてやりたいものである。日本のスポーツ選手にこのような抗議をする人は一人もいないだろう。外国人選手だからできたことだ。もちろん、ボールガールは血など出ていない。結局、大会の責任者が出てきて、当てたことがよくないということで失格となった。責任者に対して日本人選手はビデオを見てほしいと訴えたがそれも拒否された。もしボールガールに球を当てた選手が日本人ではなくフランス人であっても、同じ判断をくだしただろうか。

 フランスと聞くと、先日六本木の路上でフランス人旅行者が日本人女性の顔をこぶしで思いきり殴って逃げた事件が思い出される。今回の全仏テニスでの問題を見て、海外から多くの旅行者が日本にやってきて笑顔で日本を楽しんでいるが、やはり思いやりの気持ちや道徳心が強く治安のよい日本とは異なる国で生まれ育ち生活している人々なのだという事実は忘れないほうがよいと思った。外国人も日本人も同じだろうと思っていると、思わぬ事故や災難に巻き込まれる可能性が高まるだろう。世界の国々の実態をあまり知らない平和ボケしている日本人は、外国人だからといって過度に怖がる必要はないと思うが、油断だけはしないほうがよい。観光で来日した多くの外国人が自ら話しているように、日本(人)と外国(人)ではまったく異なるのである。