「実ほど 頭を垂れる 稲穂かな」

 これが適切であるのは、65歳頃までであろう。

 これ以上の高齢になると、謙虚さが次第に薄れ、自己中になり、人に迷惑をかけては開き直って怒るようになる。65歳頃までは、ほとんどの人が知識と経験を深めながら謙虚にまじめに生きてきたはずなのに、とても残念であり、不思議なことでもある。長期にわたり蓄積してきた知識や経験が生かせなくなる。認知症が原因でそうなる人もいるのだろうが、高齢者の総数から見ればそれはごく一部だ。定年となってやることがなくなり、死も近づいて、やけになるのだろうか。

 今後、高齢化社会はさらに進んでいく。高齢になってからの生き方が難しい。つまらない生活は誰もが送りたくない。国や自治体が、保障制度やコミュニティの提供など、もっともっと努力をしていく必要がある。高齢者側としては、最低限、他人に迷惑をかけないように生きていかなければいけないだろう。