欧米に比べ、日本の会社は女性役員の割合が低い。日本では女性がなかなか社会進出できないということなのだろうか。それとも、日本では女性がなかなか社会進出しようとしないということなのだろうか。
例えば、旧帝大や国立大医学部への女性の進学率が低かったり、大学教授は女性の比率が低かったり、政治家や官僚、一流企業の社長などは女性が少なかったりするのは、男性有利の何らかの規制や基準があったのだろうか。国立の大学入試や国家公務員試験(上級)、弁護士試験などにあったとは考えにくいし、一流企業内で有能なのに女性だから出世させないということがあるだろうか(会社の不利益になることをしてきたのだろうか)。中小企業や三流私立大学などにはあるのだろうが、それは社会の問題ではない。基本的には規制がなく、男女平等であったと思う。
欧米は女性の社会進出が進んでおり日本と大きく異なるというが、最も重要な異なる点は女性達の意識の違いであろう。「女性は弱くかわいい存在で、男性が守らなければいけない」、「女性はしっかり家庭を守る」、「家事やお茶くみ、コピーは女性の仕事」、「たいへんな仕事やむずかしい仕事はやりたくない」などと思っている女性が多いのであれば、いつまでたっても女性の割合は高くならない。女性の意識が変わることによって、高レベルの大学を目指し、実力をつけ、社会で活躍しようとする女性が増える。
能力に関係なく強制的に「2030年までに上場企業は女性役員3割」とするのはまずい。それよりも前に、やることがある(女性の意識改革、ひいては女性の能力の底上げ)。それなしに今すぐに重要ポストや役員の女性の割合だけを強制的に増やしても、会社の経営が悪くなったり、日本の研究能力や開発力、技術力が落ちたり、あるいは自分の能力を知って病んだり仕事をやめたりすることになってしまう。
男女差別はよくない。平等に「能力」で合格者や採用者、人事異動を決めなければいけない。そのために、まずやることをやっていかなければいけない。基礎が不安定なのに、家が丈夫で長持ちするとは思えない。