「どうですか。緊張しましたか」ー「とても緊張しました」ー「緊張しているようには見えませんでしたが」ー「いやいや、ものすごく緊張しました」ー「落ち着いていましたよ」ー「そんなことはありません。緊張しました」・・・。

「優勝おめでとうございます。今のお気持ちはどうですか」ー「まだ、実感がありません」ー「まだ実感はないですか」ー(翌日)「実感はわいてきましたか」ー「少しずつ実感がわいてきました」

 試合後のインタビューでよく耳にするやり取りである。試合の中身や(勝ったことに対する)気持ちとは関係のないどうでもいいようなこの2つを、なぜそんなに重大ごとのようにしつこく聞いたり話したりするのか、いつも不思議に感じる(そもそも勝った瞬間からうれしいに決まっているので、「実感」に関する質問や発言のやり取りの意味が私にはよくわからない)。

 インタビュアーの仕事放棄である「今日の試合を振り返ってください」、「今のお気持ちはどうですか」とともに、この「緊張」と「実感」のどうでもいいやり取りは、インタビューでは目にしたくないものである。