ジャニー喜多川氏による「性加害」が問題になっているが、それ以上に問題なことは各放送局が忖度して報道しない点にあると思う。

 日常、いくら真面目にニュースを伝えても、いくら情報番組で社会の問題を伝えても、それらは「公平・正義」に貫かれた放送局が制作し国民に伝えているものではないということが明らかになった。報道しているすべてが嘘や忖度による情報だとは言わないが、放送局は何らかの事情や圧力よって「公平・正義」よりも嘘や忖度を選択する。今回のことが、その証拠であろう。証拠が明らかになることは今回が初めてではなく、身内のテレビ局やアナウンサーが悪いことをした時や大きな事務所の芸能人が悪いことをした時にも、報道しなかったり当人を守るような内容の放送になったりしていたことは事実である(私が気をつけて見てきた)。オオカミ少年のように、放送局が伝える情報のどれが公平・公正な事実なのか、もはや全く信用できない。

 政治家の悪行を阻止できるのは、野党でも警察でも専門家でもなくマスコミしかないと私は思っていた。しかしそのマスコミも、このような状況である。素人が見ても無理だとわかるような「3本の矢」(3本目)も、安倍氏の圧力に負けずにマスコミが強く指摘したり反論したりしていれば、10年間に大量の金を使ったのに目標を達成できなかったということにはならなかったと思う。いじめと同じく、黙ってみていることは認めることと同じだ。

 日本の政治や経済、社会規範などに大きな影響力を持つ政治家と放送局のこの2つがタッグを組んで、日本の社会が改善し発展していくことを結果的に防いだり社会の秩序を破壊したりしている面がある。政治家と放送局がこのような状態であれば、ほかに国民や社会、正義を守るべく機関がなくてはならない。現時点ではそのようなものは存在しないので、完全に政治やマスコミから独立した権限を持つ機関を新たに作るしかないと思うが、しかしそのようなものを作るとしても作ったり許可を出したりするのはやはり政治家であり、その実現のために世論を作っていくのは放送局であるため、実現は不可能であろう。そもそも、国民や正義のために自分たちに不利になることでもやれるのであれば、新たな機関などを作らなくても自浄作用で政治も放送局も普通の状態になっていける。

 先は暗い。