笑うのは、面白い時やおかしい時、楽しい時であろう。

 しかし、今のバラエティの笑いはそうなっているだろうか。番組内で誰かが気まずいことや批判的なことを言ったり、普通の言葉や会話を大声で叫んだり、あるいは散歩番組で普通の感想を言ったりした時に、一緒にいるお笑い芸人がこれでもかと大笑いしたり、誰の声かわからないがバックに大勢の笑い声が挿入されたりする。その笑い声につられて視聴者も笑うという仕組みになっている。近くでお笑い芸人が体をのけぞらせて大笑いしたり、バックに大勢の笑い声が挿入されていなければ、視聴者が笑うということは決してない。だって普通の言葉や会話、愚痴や批判なのだから。

 ここ数年のバラエティ番組では、ドリフターズのコントやごく少数の面白い漫才のように、本当におかしくて笑うということがほとんどなくなった。歌番組も数十人が出てきて同じような振りや同じような歌ばかり。情報番組もお笑い芸人や似非専門家がコメンテーターとなり無責任にストレス発散するだけ。テレビ番組がどんどん劣化していて、テレビ好きだった私も最近は見なくなってしまった。復活への方向転換は、何年先になるのだろう。