WBCで日本が世界一となった。試合直後、大谷選手にインタビューをしたアナウンサーは、「あらためて、どうでしたか」「あらためて、いかがでしたか」という質問ばかりだった。
「どうでしたか」、「(今日の試合)ふりかえってください」の2つが、私の最も嫌いな質問である。スポーツに関する知識や会話の能力が乏しいゆえに、どんな場面でも、どんなスポーツでも、これさえ言っておけばいいだろうというような、何にでも利用できる小学生レベルの質問である。選手たちは、呼ばれたから聞きたいことがあるのだろうと思って来たのに、「どうでしたか?」では「特に聞きたいこともないのに呼ぶな!」と、試合後で疲れている選手は心の奥で思ってしまうのではないだろうか。
それから、ここ2、3日の日本人アナウンサーの質問は、「どうでしたか」の前に枕詞のように「あらためて」をつけることが非常に多い。現場だけではなく日本のスタジオにいるアナウンサーたちもそうである。非常に耳障りだ。同じ質問を何度もしているという自覚からなのであれば、疲れている選手に同じ質問をするのはやめてあげてほしいし、視聴者も同じことを何度も聞きたくない。
アナウンサー以外でも、当たり前のことを叫んだり身内で大笑いしあうだけの今の「お笑い」や無責任コメンテーター達、判で押したように大勢が出てきて同じような歌と同じような踊りをするだけの歌謡等々、(それを採用している)放送局の姿勢や質が年々劣化しているように私には感じられる。政治家が劣化しているのも、放送局の姿勢のせいではないだろうか(そこに政治家たちがつけ込むため)。
視聴率だけのために働かれたら、日本の政治も社会もどんどん堕ちていく。今が底ではないと思う。放送局には、国や社会に対する自分たちの影響力や使命を自覚してもらいたい。
〈追記3/30〉 この記事を書いてから30日まで、毎日1、2回は「あらためて」という言葉をアナウンサーが話すのを聞いている。今日も朝から、初めての紹介なのに「あらためて、ご紹介します」と司会者のNHKアナウンサーが話していた(ちなみにもう一人いたゲストは紹介すらされずに次のVTR に進んでいた)。WBCが終わってから、インタビューや司会をするアナウンサーの「あらためて」が明らかに多くなっている。それまでは、全くといっていいくらいに聞いたことがなかった。雰囲気や流れに身を任せるのはよくないと思う。