H3ロケットの打ち上げは、失敗に終わった。

 前回の中止時は、責任者が涙ながらに会見を行っていた。

 H3ロケットの開発・製造には、2022年度と2023年度の国の予算案に費用が盛り込まれ、合計すると256億7400万円だという。

 今回は中止ではなく、ロケット破壊の完全な失敗である。今度の記者会見は号泣だろうか。しかし失敗してもJAXAの関係者は、高額の給料が減るわけでもなく退職させられるわけでもない。泣きたいのは、非正規雇用ながらわずかな給料から税金をなんとか納めている多くの国民であろう。その人たちに向かって、加害者(失敗した側)が被害者(費用負担者)に対して泣いて見せることはよくない。泣き方の度が過ぎると、むしろ被害者を装う悪意のある行動かとも受け取られかねない。

 H3の研究・製造者たちがその仕事をしていた数年間にもらった高額な給料は、何に対する対価だったのだろうか。ロケット代は、どうなるのか。

 せめて、結果が出ないかもしれないことに使われる税金分は、非正規労働者やパート・バイトなど自分の生活に余裕がない人からは徴収しないなど、何らかの対応が必要ではないだろうか。