技能実習生の制度は、実習生にとって本当にプラスになるのだろうか。私には安い給料でバイトをさせているだけのように見える。工場で単純作業をしたり、ホテルで配膳出しをしたり、野菜の収穫をしたりしていても、たいした技能は身につかないし、国に帰って効果的に経験を生かして成功できるとも思えない。
東南アジア人ということで、日本人のバイトではありえないようなひどい環境で寝泊まりをさせたりひどい扱いをしたりしていると、時々ニュースにもなっている。以前、私が温泉旅館に泊まった時、胸に技能実習生のバッチをつけ、一生懸命食事を運んでいる若い女性がいた。ノンアルコールビールを頼んだのに、普通のアルコール入りビールが運ばれてきて、アルコールを飲めない知人が少し飲んでしまったということがあった。その若い女性に、「これはノンアルコールですか」と聞いたら間違いに気づいたようで、何度も何度も頭を下げて謝っていた。やはり素人のような仕事ぶりだが、旅館側としては十分な研修の手間を省け、安い給料ですぐに使えるから得なのだろう。利用者側としては「技能実習生」のバッチをつけているので、だまって未熟なサービスを甘んじて受けなければいけない。正規の宿泊料金を払っているのに・・・。
技能実習生の制度は、それを利用している実習生にとっても、一般の消費者にとっても不利益を被ることが多く、プラスになるのは実習生を利用する会社側だけのような気がする。本来の「技能実習」とはかけ離れた、問題だらけの制度ではないだろうか。
少子化がどんどん進み、これからますます単純作業労働者の需要が高まると予想される。「技能実習生」などと体裁を繕ったような名前ではなく、普通に「アルバイト」として日本人と同等の給料や待遇、環境を保証し、会社側だけが甘い汁を吸うことがないように制度を吟味したほうがよいと思う。
もし日本政府が、本当に他国に日本の技能を伝えてその国の発展を支えたいと思って何かをしたいのであれば、一定の能力を持った外国人を大企業なり大学で留学生や研究生として1~2年程度学ばせるほうが現実的であろう。