トルコとシリアで大地震が発生し、多くの人が生き埋めになったり亡くなったりしている。これを受けて、世界各国が救助隊を派遣した。しかし、個人的にどうも腑に落ちなかったり疑わしい感じがしてならないのである。はっきり言うと、政治的駆け引きや自国のためのアピール合戦の場のように見えてしまうところがある。

 ロシアも救助隊を派遣するという。毎日毎日ミサイルで他国民を殺しながら一方では救助隊を派遣してみせる。ウクライナも、毎日国民が殺されているのに、そちらではなくトルコに救助隊や医師を派遣するようだ。もしウクライナで大地震が発生しトルコの町のような状況になったら、ロシアはミサイルを撃ちながら救助隊を送るのだろうか。ロシアで大地震が発生した場合、ウクライナへミサイルを撃ち続けているロシアへ、欧米や日本は救助隊を派遣するのだろうか。

 私の頭は疑念と疑問で混乱している。「外交とは武器の持たない戦争」と言われる通り、武器を使ったり使わなかったりしながら、自国の損得を第一に考えて他国に人材派遣をしたり経済援助をしたり武器供与をしたりしているのではないだろうか。そうだとしたら、そんな弱肉強食の外交の世界でお人よしの日本が勝てるわけがない。

 トルコに住んでいる日本人の話によると、今はとにかく寒くて凍死する人もたくさん出てしまうので、大量の防寒着が必要だという。すでにヨーロッパ各国からは数百人単位で救助隊が派遣されている。日本から数十人程度の救助隊が重機なしで行っても崩れたビルに乗って小さなブロックをひっくり返す程度のことしかできず、あまり効果は期待できない。日本の援助隊がわずかな人数であるならば持参したスコープなどは大規模に派遣した国の援助隊に貸し出し、日本はホッカイロや毛布、焚き木、防寒着などを送ったり現地で配ったりなど、氷点下の屋外で暮らしている生存者のために行動したほうがいいように思うのだが、それではあまりも地味な仕事で人目につかず日本国としてのアピールにはならないのかもしれない。日本は、数百人、数千人規模の救助隊チームを重機とともにトルコへ送るか、数十人程度の救助隊しか派遣しないのであれば、今生きている被災者の命を守りぬくことに専念したほうが、現場での邪魔にもならないのではないだろうか。

 私が一番腹が立ったのは、日本の救助隊が日本を出発する時、救助隊員が1列となり先頭の隊員が大きな旗を持って仲間が作った列の間を行進し、まるで英雄のように拍手をされていた。何が偉いのか。いったい何のパフォーマンスなのか。誰にアピールしているのか。見ていて、はずかしさを通り越して、個人的には気持ちが悪かった。「黙ってさっさと行って、一人でもいいから助けろ!早く自分の仕事をしろ!(もちろん彼らはボランティアではなく給料をもらっての仕事である。さらに税金を使ってもろもろの手当ももらえるのだろうか)」と言いたくもなる。