日本が、敵のミサイル発射基地に対する反撃能力を行使するということは、敵から日本の基地やインフラ設備、市街地に対して総攻撃を受けるということである。ウクライナの状況を見てもわかる通り、相手国が被害を受けた同程度に日本のミサイル基地のみを攻撃してくれるほど、相手国は律儀ではない。むしろ、なにもされていなくても、攻撃して領土を奪いたいくらいなのだから。
もちろん反撃能力を持つことは抑止になるはずもなく、むしろ日本は敵のトラップに引っかかりミサイルを撃たされたり、あるいは「我々は一切ミサイルを撃っていない。日本が一方的に撃ってきた」と嘘をいわれて総攻撃をされるのがおちであろう。どのように転んでも、日本が敵国の基地に対してミサイルによる反撃能力を持つということは、相手国にとって有利な材料にしかならない。
仮に、日本が敵国の戦闘機や潜水艦からのミサイル、本土にある多数のミサイル全てを撃ち落とすことができるのであれば、反撃能力を持つこともいいだろうが、敵の領土内にあるミサイル基地を数か所壊す程度であれば、持たないほうが良い。結果的に、さらに日本側の被害が大きくなってしまう。
それよりも、日本は初めから戦争に持ち込まないことだけを考えたほうが良いだろう。武力の戦いに持ち込んだら、最後は日本の領土が大国同士の戦場と化し、勝ち負けがつかないまま日本の国土は壊滅的な被害を受けてしまう。アメリカは痛くもかゆくもない。ウクライナの二の舞となるだろう。
アメリカにいい顔をしてほめてもらうために反撃能力を持とうとしているのだろうか。あるいは、裏でアメリカに強く要求されたのだろうか。いずれにせよ、日本は最悪の選択をしてしまった。敵の領土に対するミサイルを日本が持つことで、日本という国がゲームオーバーとなる確率が格段に上がった。
ウクライナもそれまでの日常が一変した。「まさか」や「想定外」はない。大災害でも戦争でもそうだが、「思いたくないことは起こらない」という勘違いやごまかしは、絶対にいけない。むしろ起きないだろうと思うことや想像以上のことが、悪いことについては起きてしまうものである。