悪口や差別的発言を子供たちに教育しているのはテレビ番組で、特にお笑い芸人たちが子供たちに教え込んでいる。
先日もロケ番組で、眼鏡をかけた比較的背の低い芸人に対し、一緒にロケをしていた芸人たちが大声で「チビめがね!」と何度も叫び、ほかの芸人たちがそのたびに大笑いしていた。これを見た子供は、背の低い子や眼鏡をかけた子供に対して差別意識を持ち、悪口やからかい、いじめをするようになる。「チビめがね」というのはほんの一例で、このような悪い差別的な言葉で大笑いする番組はとても多い。しかし、それを止めたり非難したりする人は、日本には誰一人としていない。「お笑い(お笑い芸人)」であれば、なんでも許される社会の風潮が不思議でならない。
一方、番組によっては差別はいけないとか、いじめはいけないという。学校でもそう教える。
対立する二つの側面(考え方)が、日本の社会の中でうまく共存しあっている。社会全体で、一方をなくそうとする動きにまとまることはない。そうであれば、自分を解放してストレスを発散でき、自分を強く見せることもでき、面白さもあるいじめや悪口のほうを、子供であれば(大人も?)選択するだろう。
いったい日本では、社会全体としていじめは良しとするのか、だめとするのか、それとも場合によっては良しとするのか、統一しないと結果的に一番楽な「いじめ良し」の社会になる。もし社会全体として「いじめダメ」とするなら、お笑い番組で見られる差別発言やいじめをして皆で笑うような言動は禁止にしなければいけない。
いじめや差別をなくすためには、無計画で(効果の薄い方法で)感覚的に進めるのではなく、社会全体でまずやるべきことを考えて(マイナス面を取り除くことに)取り組む必要がある。そして、最低限の基礎が出来上がった状況(環境)で、道徳教育などプラスに持っていく試みが重要であろう。