安倍氏が亡くなった。葬儀を巡りネット上では誹謗中傷が見られると報道されているが、度を超えた少数の書き込みを取り上げて、国葬に対する反対意見をすべて切り捨てようとする論理、戦略は許されない。

 安倍氏の国葬扱いについては身内だけで勝手に決めるのではなく、法に従って選別したり、せめて形だけでも一応野党や国民からも広く意見を聞いたりして決めた方がよいだろう。独裁政治をあまり表に出さず、一応民主的な形をとった方がよいのでは・・・。一度簡単に許すと、政府はどこまでもエスカレートしていくことは、これまでの十数年の政治で皆が目にしてきたはずである。

 安倍氏が国葬にふさわしい結果を本当に残してきたのかについては、党内で総裁任期を伸ばしてまで権力の座に長く居座り続けたか、世界に友達が増えたかなどといった基準ではなく、北方領土や尖閣諸島、日韓関係などの外交、それから国民生活や日本の経済を見た時、安倍氏が実際に日本の国益となった結果を出したのかの議論や検討の結果となるだろう。しかしその議論においては故人でもあるので(本人が反論できないので)、限度を超えた言い方や法に触れるような言い方は厳に控えて皆が誠実で冷静に議論しなければいけない。安倍氏が悲しむことになってしまう。どうせ水掛け論で終わり権力者の思った通りになるのだから、皆が熱くなることなく多様な見方や評価を挙げて終わりとなれば、それでよい。開き直って露骨にすべてを独裁的に決めてはいけない。

 もう1つ残念だったことは、昭恵夫人が葬儀において「種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう」と発言したことだ。これを聞いた安倍氏の政治家仲間やチルドレンたちは、どのように思い、今後どのような行動をとろうとするだろうか。このニュースを見た時、鎌倉殿が亡くなり妻の北条政子の発言が政治を動かす(二代目が決まった)大河ドラマが頭をよぎった。昭恵氏は国民に選ばれた政治家ではないのだから、政治にかかわる発言は、もうしない方がよいだろう。