歌番組を見ていると、男性も女性も、大勢のメンバーで踊りながら歌うものばかりである。おそらく全出演者の半分以上はそうであろう。同じような歌や踊りを、繰り返し延々と見せられているようだ。特にファンでない人や中高年にとっては、みな同じグループように見えるだろう。昭和歌謡曲と違って後に歌詞が記憶に残るような名曲も出てこなくなったし、1人のアイドルというものも出なくなった。日本の歌が衰退していく思いだ。
バラエティも似たような内容の番組ばかりとなった。たしかに日本は良くも悪くも、みなが一気に同じ方向に突き進む傾向が強いが、昭和や平成の時代は今ほどそれが顕著ではなく、もっと個性があったように思う。テレビ局と特定の芸能事務所等との癒着が強くなりすぎてしまい、元に戻せなくなってしまったためだろうか。
いずれにせよ、テレビ局は歌手や芸人たちに能力や個性がなくても、演出技法や売り出し方で番組を成立させられるようにしてきた。そしてその行為は、今後本当に面白い芸人や名曲が生まれてくる環境をつぶすことにもつながってしまう。テレビ局の責任はとても大きい。