観光船事故を起こした社長が記者会見をおこなった。社長は土下座しながらも、自分に落ち度がないことを延々と話し続けた。謝罪はするが、具体的には自分のどこが悪かったのか社長はまったくわかっていないようだった。

 もっとも腑に落ちなかった点は、午後から海が荒れることを認識していたが出発時点では波も風もそれほどなかったから条件付きで(波が荒れたら引き返すことで)運航を決定したという点だ。今回は結構遠くまで行くコースで、通常片道1時間半かかるらしい。目的地近くで波が3メートルくらいになったから引き返したとしても3メートルの波の中を1時間半も進むことになり手遅れである。遠くまで行ってしまった時点で波が高くなったらどうしようと思っていたのだろうか。また、事故を起こした船に以前から亀裂がありそこから水も出ていたという証言もある。浸水しエンジンが止まった原因に対する説明が必要だった(質問をしなかった記者たちのレベルの低さも原因だが)。

 観光船の船長でも旅客機のパイロットでも人の命を預かるという点では同じである。命を預かる職業では、パイロット程度の専門性や訓練、意識教育、健康診断などが必要なのは当然であろう。行政は、もっと厳しい条件を義務付ける必要がある。社会全体が、人の命を軽く考えすぎている。