アメリカのアカデミー賞授賞式で、ウィル・スミスが公開暴力を行った事件について、意見が2つに分かれているという。
1つは、「家族を守るためだから理解できる」、「かっこいい」などといったもので、もう1つが「暴力はよく無い」などというものだ。
しかし、この2つは理由と結論であり、議論の比較対象とはならない。「理由は納得できるが、暴力はいけない」という結論しかない話である。
暴力は犯罪で、違法行為である。暴力を受けた司会者がすぐに警察に通報すれば、スミス氏はその場で警察に捕まり、その後のスピーチはなくなり、受賞すらどうなったかわからない。そういう事件だ。
少し話がそれるが、個人的な印象としては、あの場面を見て「怖いなあ」と思った。「日本人俳優でもやったかなあ。白人俳優でもやったかなあ」と想像もしてみた。授賞式後、彼の息子もツイッターで「これが自分たちのやり方だ」と書いている。スミス氏や子ども達は、黒人差別が露骨なアメリカで生きてきたゆえに、防衛本能もそれなりに強いのかもしれない。しかし、鶏と卵の話になるが南アフリカのようにどちらかが先に歩み寄らないと、真の平和は訪れない。彼は授賞式でのスピーチで、自分の信念である愛や人とのつながりなどを訴えていた。彼には、これからも苦難の道が続いているように感じた。
彼の暴力も問題だが、多くの出席者やテレビで見ていた人たちをとても嫌な思いにさせ、アカデミー賞の歴史に汚点を残すようなことをしたのは、どのようなことをしても取り返しがつかない。今後の彼の行動に注目したい。私が彼の立場だったら、自分を直すため、自分に罰を与えるために、アカデミー賞を返上し、司会者に直接会って謝罪するが・・・。