ウクライナ出身のクリスさんがユーチューブにおいて、「世間ではロシア政府とロシア人はイコールではないと広まっていますが、私はそう思いません」と率直な意見を述べている。
私もこのブログで繰り返しその点を指摘してきたが、ようやくウクライナ人がはっきりと勇気を出して本音を話してくれたことで、本音を言うことを半ば封印させられてきた在日ウクライナ人も、心の叫び、訴えを日本で自由に話せる道ができたと思う。
在日ロシア人達は、当初「悪いのはプーチンで、ロシア国民は悪くない」「ロシア国民は戦争に反対だ」と主張を繰り返して、誰もがそれを否定できない雰囲気を日本に定着させてしまった。在日ロシア人達は、「私は戦争に反対だ」「私は悪くない」とはいわず、「ロシア国民は悪くない」と新宿や渋谷で訴えてきた。はたしてそれは適切な主張だろうか。実際に毎日多くのウクライナ人を殺しているのはプーチンではない。プーチン以外のロシア人だし、ロシア国内でおばあさんや小学生を捕まえてを護送車に入れているのもプーチンではないロシア人だ。そして、多くのロシア国内のロシア人はプーチンを信じている。そして嘘を信じ込ませられるようなことが可能な政治体制、たった一人による独裁国家を長年認め育ててきたのもロシア国民だ。
もちろん在日ロシア人やロシア国内のロシア人の中には、もうロシア人でいたくないと心からプーチンやロシアという国の社会や行動を嫌っているロシア人もいることは確かである。しかし、そういう人の割合は全ロシア人の半分にも満たないだろう。だから私も「ロシア政府とロシア人はイコールではない」という主張には反対である。幹の部分、つまり大まかな傾向としてはロシア国民の多くはプーチンを信じており、枝葉の部分、つまり少数だがプーチンやロシアの国を否定し民主主義や自由、人権を尊重するロシア人もいるというのが事実ではないだろうか。ロシア国民は全員が悪いとは言えないし、プーチン以外のロシア国民は悪くないというのも間違いだろう。
ロシア人達によって、ロシア国民、あるいはロシアは悪くないという大々的な主張がなされ(「悪いのはプーチン一人」)、それに沿わない発言をウクライナ人達は事実上禁じられ、ウクライナ人はさらに苦しい立場に置かれていたと思う。親や子どもがロシア軍人によって殺されても、殺したロシア軍人を非難したりすることも事実上できなかった。もちろん、個人攻撃や限度の超えた犯罪まがいの悪口は良く無いと思うが、ウクライナ人も世界の人達も我慢せずに適切な心の本音を吐き出してもいいだろうと思うのである。
「ロシア国民は悪くない」「ロシアは悪くない」という言葉が、ウクライナ人をはじめ世界中の人々を二重に苦しめているように見える。限度内で「適切な批判」は必要だ。これもロシア国民に染み付いた計画的な言論統制ではなかったことを祈りたい。