日本に住むロシアの人達(デモに参加しているロシア人やロシア人ユーチューバーなど)は、悪いのはプーチンで私たちは戦争に反対だと訴える。そしてSNS上で少しでもロシア国民に対する非難の書き込みがあれば、それを取り上げて「ロシア国民に対する誹謗中傷はやめてください。私たちロシア国民は悪くない」とテレビを使ってロシア人が叫ぶ。これってどうなのだろうか。日本にも不良や犯罪者、おかしなオタクやひねくれた反抗的な若者もたくさんいる。不適切な書き込みをする人が0人になることはない。SNS上で見られる日本人の書き込みのほとんどは、「ロシア国民は悪くないよ」「一緒に平和を願おう」というものだ。ごくごく少数の不適切な書き込みを拾って「やめてください」と訴える。それは結果的にあおることになって、おかしな書き込みが増えるだけであろう。今の日本人のほとんどは、誹謗中傷などしていないのだから(SNS上でも圧倒的に少ない)、その流れを大事にした方がよいのではないだろうか。アメリカで人種差別がなくならないのは、人種差別はよくないという教育をやったり、マスコミもそのような報道を大量に流したりしているからだ。日本ではそれがないから、日本の小学生などは人種差別の意識すらない。しかし大人になるにつれてテレビなどで人種差別は良く無い、昔は黒人が差別されていたという情報に触れ、徐々に人種差別の意識を持つようになっていく(建前の言い方も身につけていく)。
もちろんロシア国民は戦争に反対だということも、プーチンに戦争をやめてもらいたいと思っていることも事実だろう。しかし、「ロシア国民は戦争に反対していて悪くない、プーチン1人が悪い」とウクライナの人達が言うならわかるが、ロシアの人達が言うのは筋違いのような感じもする。わかりやすく言いかえれば、もしウクライナ側に西側諸国が参加しロシアと激しい地上戦になった場合、ロシア国民は悪くないというアナウンスが事前に浸透してれば、ロシアはウクライナ全体を広範囲に爆撃できるがウクライナや西側諸国はロシア国内のほとんどを爆撃することができなくなってしまう。これでは戦いにもならない。もちろんそんな意図や計画性がロシア国民にあるわけもないが、意図に反してそうなってしまう可能性がある。それに実際プーチン以外のものすごい数のロシア人(ロシア軍や警察の人)が、人を殺したりデモをしている人を捕まえたりしていることも事実である。今のロシアの体制を維持し続けてきたのもロシア国民だ。「悪いのはプーチンただ一人だ」というのも、法的にはわからないが道義的には個人的に疑問が残る。
ロシア国民は、というよりすべての人間は基本的に戦争には反対であろう。だからロシア人が「戦争反対」とか「ロシアはウクライナから出ていけ」と声を上げることも、とても納得がいく。しかし「ロシア国民は悪くない」、「悪いのはプーチンだ」という主張が一番前に出てくると、「あれっ?」と思ってしまうのである。
言葉は危険だし、しだいに慣れてくると徐々に初心が変わったりもする。しかし日本人とロシア国民の本当の願いは同じであるはずだ。日本に住むロシア国民も日本人も平和を勝ち取るまでよく考え協力しながら一緒に頑張っていきたいものである。