オリンピックを見ていると、試合後の選手にインタビューをする時、インタビュアーがいきなり「いかがでしたか」、「試合を振り返ってください」と話しかけたり、最後に「(次の試合も)期待しています」などと口にする。

 疲れている選手は、自分から何か話したいわけではなく、インタビュアーが待っていたり呼んだりするから、仕方がなく近くに来てくれるのである。それをいきなり「試合を振り返ってください」などと幼稚園児でも言えるような究極の抽象的質問をするとは、プライドもないインタビュアーばかりである。選手側は、何か聞きたいことがあるだろうと思って近くに来てくれるのである。選手たちは、特に聞きたいことがないのに呼びつけるなと思っているのではないだろうか。インタビュアーたちは全く頭を使わずに楽な手抜きの質問をし、あとは選手側の頭に頼るという、恥も外聞もなく失礼な態度をとっているし、そのことの自覚もまったくない。オリンピックに限らず、スポーツの試合後ではよく見られる。こんなことはここ数年だと思う。テレビ局はまた一つ悪しき習慣を作り上げた。

 インタビュアーは、多くの視聴者が聞きたいことを具体的に聞いて掘り下げてみたりその時の気持ちを聞いたり選手が進んでどんどん話せるような質問や会話をしたりするのが仕事である。素人では選手に失礼すぎる。

 そして、その競技が特に好きだというわけでもなく、その選手を見続けてきたわけでもなく、その場の空気も雰囲気も選手の気持ちも視聴者の知りたいことも何もわからず単に「仕事」としてやってきたインタビュアーに限って、最後に「次も期待しています」とプレッシャーをかけてインタビューを終わらせる。インタビュアーの仕事は、何でも話していればよいというわけではなく、「何を話すか」が重要だ。

 何の会話術もインタビュー能力もない素人は、4年に1度の重要ななオリンピックに関わらないでもらいたい。上司の命令でも、正直に「私には無理です」と断ってもらいたい。それが選手のためであり、視聴者のためになる。みんなのために良い働きをしたことになるだろう。