今日、大阪府で確認された新型コロナの新規感染者数が約1700人に上るという。
元大阪府知事の橋下弁護士は、他国でオミクロン株が流行し始めた当初に政府がすべての入国を一時停止するという発表を受けて在外邦人保護の立場から邦人だけは入国を認めるようにテレビで繰り返し猛反発をし、その動きが徐々に他のコメンテーター達にも広がって、結果政府は邦人の入国を認めることとなり、それから加速度的に日本で感染が広がった経緯がある。
橋下弁護士は今の日本の感染爆発の様子を見ても、海外にいた邦人を入国させるように主張したことを後悔していないだろうか。橋下弁護士は、医学や保健、感染学、経済学等の専門家ではない。日本の法律の専門家である。さらに言うなら法律の学者でも裁判官でもなく、裁判においていかに口のうまさ(言葉尻をとらえて攻撃したり、不利になると論点を微妙にずらしていったりする技術など)で勝負をする「弁護士」である。1つの立場(日本の法律の趣旨?)からのみ正当性を主張すると、総合的現実的には合わないこと、不適切なことのほうが多いものである。
今彼に問うと、「入国検査をしっかりやることは当然のこととして邦人の入国を主張した」というだろう。しかし、実際に多くの邦人帰国者全員を2週間隔離する施設は確保可能であったのだろうか。それを確認しないままでの邦人入国許可の主張は無茶なことで論理が破綻している。
年末年始ということもあり邦人帰国者があまりに多く、ほとんどが全国の自宅に新幹線などの公共交通機関で帰り2週間自宅待機となったが、自宅近くの外出は許可されていた(スーパーや散歩は国からも許され、毎日2回程アプリでの確認をするだけだった)。そして、自宅についた後にオミクロン陽性が発覚した例が多数あった。その人の濃厚接触者は特定できるはずもない(新幹線内やスーパーなどでの接触者)。
橋下氏のテレビでの怒れる主張は1つの流れを作り、結果的に今の状況をもたらした。コロナの問題は、数千人単位で国民の健康を害し、生命をも奪う事案である。そのことを十分に自覚したうえで、正確な情報をできるだけ多く手に入れ、現状を調査把握し、その上でテレビを通して国民全体や政府に対して提言する責任がある。
専門家は、全国放送において専門外のことはもちろん、軽々しく思いつきや個人的感想を口にしてはいけない。肩書上多くの人が信じその通りにしようと思ってしまうのである。
〈追記〉本日の東京都の新規陽性確認者数は2198人、全国では12135人。