茨城県に、引退車両をご神体としてまつる神社ができたという。手前に鳥居があって、その向こうに古い電車が停車している状態だ。
元々は、神が宿るのは自然物とされてきた。具体的には、神が宿る(分身が移る)のは山や木、滝、岩、太陽、海などの自然物であり、例えば消しゴムやカバン、テレビ、ビルなど人が作った人工物には宿らないということである。その後時代を経て、社殿内に設置される剣や勾玉、鏡にも神は宿るという解釈に拡大された。
だから、自然物でも剣や鏡などでもない古い電車がご神体の神社と聞いて信じられなかった。ご神体である古い電車の中には人が自由に出入りでき、鉄道の展示物が並べられていた。地域に人を呼ぶための苦肉の策だったようだが、本当にご神体や神社として成立するものなのか、名前だけにしても「神」をそのようなことに使ってよいのか、調査と検討が必要である。