熱海市で発生した土石流を受けて関係閣僚会議が開かれた。菅さんは、「人命第一で、2次災害にも注意し、救命救助と安否不明者の捜索、被災者の支援に全力を尽くしてほしい」と指示したと、毎日新聞が報道した。

「全力を尽くしてほしい」が指示なのだろうか。新聞で伝えるほどの内容だろうか。

 このような小学生レベルのことを菅さんが言わなくても救命救助や安否不明者の捜索、被災者の支援に全力を尽くのはあたりまえである。彼の指示がなかければ全力を尽くさないような閣僚や官僚たちだから、あえて彼は言ったのだろうか。確かにこれも否定はできないが、彼が言うまでもなくすでに自治体や現場では全力で救助や支援が行われている。

 さらにいうなら、彼が「人命第一で」と言うと非常に気が緩むのである。彼の言う「人命第一」の意味やレベルは、オリンピック開催における国民や選手たちの健康や人命の扱いで、すでに証明済みである。現場で救助や被災者支援にあたっている人達に、「菅総理が人命第一で全力を尽くせと言ってる」という情報が伝わると、「あれっ、人命第一じゃなくてもよいということかな」と思う人がでたり、菅さんのうつろな目で覇気のない応援をされても現場の士気がわずかではあるが下がるのではないだろうか。少なくとも上がるとは考えにくい。

 菅さんは、何も言わず何もせず、オリンピックでも災害でもいつもだまって専門家に任せておけばよい。それが真に人の命を救うことになる。それで菅さんも立派に仕事をしたことになる。

 別の話になるが、まだオリンピック中止は可能である。まだ開催前なのに、日々感染者数は増加している。開催時に変異株の感染者数がピークになる可能性がある。ニュースや新聞は開催ありきの報道姿勢だが、今こそ一人一人が自分の頭で考え判断する時ではないだろうか。

 日本全体や世界中に影響を及ぼしかねない重大な決断(開催か中止か)を、世界は菅義偉というよくわからない人物一人に任せてしまって本当にいいのだろうか。そんなことが許されるのだろうか。