スポンサーやIOCの幹部たちは運営者だから「観客」には該当しないという。つまり、観客の上限を1万人にするといっても、1万人の中には含まれず、いくらでも入ってくることになる。

 重要なのは密集度なのだから、その施設内にいる人数が重要となる。「観客数」はどうでもよく、大事なのは「入場者数」である。試合を見ている人が、一般の観客なのか、学校参加の学生なのか、IOCやスポンサーの幹部なのか、在日大使館員たちなのかによって、密集度が変わるわけではない。席を1つおきにすわって隙間を作ったとしても入場者数が多ければ、施設内の入り口や通路、トイレ、ロビー、そして施設前広場や帰り道などで密が起きる。

 丸川大臣は、「観客数を上限1万人にした」といわずに、「入場者数を無制限にした(決めていない)」と正確に説明しなければいけなかった。関係者や学校参加は別枠だということを隠そうとした(記者からの質問をうけて事務局の人がしぶしぶ答えていた)。隠そうとしたということは、自分でも国民に伝えられるような決定内容ではなかったと自覚している証拠でもあろう。