内閣官房参与で嘉悦大学教授の高橋洋一氏が、ツイッターで新規感染者数のグラフを「さざ波」と表現し、不謹慎だと批判されている。そのことについて高橋氏は「日本はほかの国と比較し、圧倒的に感染者が少ない。五輪を中止するとなると、ほかのスポーツはどうなるのか」と述べた。 

 日本より状況の悪いところと比較することで、日本は実はそんなに人が亡くなっていない、苦しんでいる人が多くないというのは、意味が無く筋違いであろう。比較するのであれば、コロナが発生する以前の日本の状況と比較して、今の日本の状況を評価するべきである。いくら、日本より状況の悪い国と比較してみたところで、以前には想像もできなかったほどの死亡者や重症患者、深刻な後遺症に悩まされている人がいて緊急事態の宣言が出されている国難時であることに変わりはないし、実はたいしたことではないということにもできないだろう。

 ちなみに、「ほかのスポーツはどうなるのか」であるが、他のスポーツとオリンピックでは、関わる人や海外からの入国者の数など規模において天と地ほどの差があり、個々のスポーツ大会を例に出して比較する意味がわからない。めちゃくちゃな論理で相手をいたずらに混乱させて言い合いに勝てればよいというタイプなのだろうか。「さざ波」ツイートの最後は「笑笑」で締めくくられていた。どのような人なのか、なんとなくわかるような気がする。

 今回の高橋洋一教授の論理は、悪さをした政治家や官僚たちが極端な例を持ち出して「私はそんなひどいことはやっていない(だから私は正しい)」という責任逃れの詭弁と構造が似ている。少し調べてみたら、やはり彼も元官僚のようだ。そこで身につけた都合のよい愚かな技法なのかもしれない。