「接触確認アプリ」について、白鳳大学の教授がテレビに出演し、「ぜひ登録をお願いします」と頭を下げていた。彼女は、閣僚でもアプリを作った省庁の役人でもない。お願いする立場ではない。よく幼い子供が自分を良く見せようと自慢気にとる手法だ。もし本当に利用価値が大きいのであれば、それを具体的、客観的に説明するのが専門家だ。そして自分の感想や個人的な意見(専門家としてではない意見)などは、専門家にはいらない。論文を書く時もそうであろう。

 そもそも、このアプリは本当に役に立つのかという問題がある。国民全体に対して利用することを求めてよいレベルのアプリかということである(これについては1つ前の記事に書いてある)。

 この教授は、以前の専門家会議を批判し、様々な分野の専門家を参加させた会議でコロナ対応を検討することも訴えていた。その結果、専門家会議が廃止され、京大の中山教授や経済の専門家を含むグループが作られた。それによって、これまでのように感染症の専門家が政治家を通さず(政治家の意図にあまり影響されず)直接国民に感染拡大の危険性を訴えることができなくなった。以前の専門家会議がなくなったいま、政治家の意思が直接的に国民に伝えられるようになり(山中教授などは政府の決めたことに反対などできないだろうし、新メンバーの言うことを政府が聞くとは思えない。政治を優先させるだろう)、国民でさえ「政府の方針で大丈夫か」と思うような不安な対応ばかりを政府は行うようになった。総理大臣も国民に直接説明することもなくなった。白鴎大学教授は、本当にこの状況を願っていたのだろうか。

 ちなみに、アビガンは効果があるので大量に作っておいた方がよいともこの教授は訴えていた。アビガンについては、有効性が認められなかったことは、先日明らかになった。この教授の言う通りにしていたら、効果不明なアビガンに頼りすぎて様々な対応が手遅れになりかねない。

 言い方にも問題があるが、言っている内容についても問題がありそうに感じられる。今は国難時である。国民の多くの命を守るためにも、番組に招く専門家は聞くべき正確な知見や的確な意見を発信してくれる人物かの判断が重要だ。テレビ局も視聴率だけを考えるのではなく、最低限の道義的ラインは守ってもらいたい。