熊本県で大雨が降り、河川が氾濫している。テレビを見ると、「大雨特別警報」という文字が画面の2か所に大きく出ている。これを見ても意味は分からない。だから何をしろということなのだろうか。1時間ほど前には、「〇〇危険情報」「〇〇警戒情報」「避難指示」「避難勧告」「警戒レベル〇」などの情報が並行してたくさんたれ流されていた。1つ1つの意味がわからないものを同時に多数見せられ、結局いったい何をすればよいのかが不明だ。混乱させ避難を遅らせるだけである。気象庁やテレビ局が伝える災害情報は恐ろしいし、非常に危険である。

 ネットで調べてみたら、「警戒レベル」と「取るべき行動」と「市町村が発令する情報」と「気象庁が発表する情報」の4つがあり、それをすべて流しているようだ。もっと変わりやすい表現でもっと簡潔にしなければ、市民はどう行動すればよいかわからない。警戒レベルを3段階くらいにし、取るべき行動を付け加えて繰り返し流すのがよい。

 それから、今回初めて分かったが、避難指示や避難準備などを発令するのは市町村とのことだ。役場に行くとぼーっとした役人たちがのんびりと椅子に座っておしゃべりをしていたり、大きな市・区役所に行ってもルーチンワークしかできない人達が集まって機械でもできるような単純労働をしているだけだ。そんな人達が、刻々と変化する災害状況を素早く正確に広く集めて各方面に指示を出したり、今後の可能性を予測して後手後手にならないように市民を安全に避難させる情報をわかりやすく早く伝えることなどできるのだろうか。私はその仕事に最もふさわしくない人々が、市町村の役人だと思う。避難指示や避難準備を発令するのは市町村ではなく、気象庁が発令した方がまだよいと思う(気象庁も、3.11の最初の津波情報を1~2mと発表することで市民に避難することをやめさせて、数千人もの命を奪った過去があるが)。熊本ではさっそく多くの人の避難が遅れ、取り残されている。死者や行方不明者も出ているようだ。さらに今後ダムの放流もあるかもしれないという。川の水があふれ、2階に避難し、逃げられなくなってからそんなことを言われても、どこにも移動できないだろう。市町村はダムの水量のことも考えて、避難指示や避難勧告を出すタイミングを決めたのだろうか。とにかく、あとで「想定外だった」という言いわけをして責任逃れをすることだけは、絶対にやめてもらいたい。

 市町村の職員は、日常から災害の専門家を招いて研修をしたり、可能な限りのシミュレーションをしてそれに対応する各方面との連絡調整や情報伝達の練習をしたりしているのだろうか。いずれにせよ、市町村に避難指示や避難勧告を発出する判断をさせたり、発表させたりする権限を与えてはいけない。いつも手遅れだし、避難しない人がいるような伝え方をしている。自分たちが適任でないことは、市町村自身がよくわかっているはずだ。避難情報の伝達の時期や方法、実行などは国にお願いした方がよい。