アメリカで、大規模なデモが行われている。

 それが必要か、重要か、あるいはその逆かという問題は別にして、このようなデモを行うことによる現実的な結果(効果)を十分に考えないと、自分の首を絞めることになりかねない。

 立場によってこの大規模なデモの様子を見て思うことは異なるだろうが、何もわからない幼児や小学生達は、黒人って差別する対象だったんだ(初めて知るだろう)、みんな怒っていて怖い、近づきたくないと思わせてしまうのではないだろうか。

 日本でも差別について語る時に、「寝た子を起こすな」ということと、「寝た子を起こすな、というのは良く無い。きちんと教育しろ」という対立した二つのことがよく言われる。これについては過去に詳しく書いたのでもう書かないが、人の感情というものを現実的に考えると、私の立場は前者である。

 いくら大きなデモをやっても人の心から差別意識がなくなるとは思えない。大規模デモによって、表層レベルでは「差別はだめだ」という言い方を身につけるようになるかもしれないが、人の心の深層レベルにおいては黒人差別を定着させてしまうことになるのではないだろうか。本当に人種差別をなくしたかったら、現実的効果を想像しながら真に有益な方策を考え、それを実行することが重要であろう。