厚労省クラスター対策班の西浦教授が、「感染防止策を何も行わなかった場合、流行が終わるまでに国内で約85万人が重篤な状態となり、半数の約42万人が死亡する」との推計を発表した。 

 それを受けて、自称社会学者の古市氏が、日本を含めた近代国家で何もしないってあり得ないとか、イタリアや米国は医療崩壊を起こしていても死者が今大体2万人くらいで40万人って唐突に言われても、ちょっとアレって思っちゃうなどと話した。

 彼の言うことは、内容の信ぴょう性云々以前に論理的におかしい。西浦氏は、感染予防対策を何もしない場合、42万人が死亡すると話した。なぜその次に「何もしないってありえない」が来るのだろう。西浦氏は、日本は対策を何もしない(だろう)などと言っていない。また、西浦氏は流行が終わるまでに、と話した。なぜその次に人口や人口密度、人口分布の異なる国と比較し、流行が終わるまでではなく今の数字と比べた感想が来るのだろう。WHOも専門家も総理も(予防薬も治療薬もないので)長期戦になると言っているではないか。古市氏には西浦氏など他人の言葉が聞こえていないのだろうか。私には、彼が反抗期の中学生か、井戸端会議をしているオバタリアンにしか見えない。彼はよく的外れや不正確なことを「思っちゃう」ようだが、学者と名乗る以上、ぱっと思っちゃったことをすぐ口にしないでもらいたい。それより彼はまず流行当初に「インフルエンザの方が危険」と言った言葉を取り消さなければいけない。

 西浦氏は、新型ウイルスは対策を何もしないとこうなるような性質のものだと隠さずに国民に知らせ、安易な対策では太刀打ちできないということを教えた。国民はどのようにこのウイルス感染をとらえ、どう行動しなければいけないかしっかりと考えてほしいということだ。多くの人が電車に乗って職場に行っている今の状況を、西浦氏は異常だとも話した。私もそう思う。なぜ日本人は爆発的感染拡大が怖くないか不思議でならない。病院も、医療崩壊の入り口にいる。日本人の覚悟に感心せざるを得ない。私は死が怖い。戦争中、死との引き換えでアメリカに突っ込んでいったDNAは、やはり日本人の中にあるのだろう。

 今国民は、何も対策をとらない場合と海外のような都市封鎖をした場合の間にいる。間のどこにいるかで、感染者数や死者数が変わる。個人的な感覚では、都市封鎖を10とすると今日本がいるのは3くらいの所であろう。都心から離れた商店街はコロナが流行する前より混み合っているという。通勤電車はラッシュにはならないが空いてはおらず、未だに大勢の人が職場に行って働いている。土日の都心は6割減になるかもしれないが、平日は3割減くらいだろう。

 30分以上の接触は危険だという。職場に行けば近くで複数の人と話をせざるを得ない。往復電車で通勤させ、勤務時間を3時間に減らしても何もならない。3時間あったら感染するのに十分だ。社長や管理職の人達に言いたい。明日から、部下が職場に来ないようにしてもらいたい。自営業の人も店を閉めてほしい。店をやるから人も集まってくる。

 今ならまだ、道は自分たちで選ぶことができる。