緊急事態宣言が出された翌日、都心に向かう電車は混み合い、新橋などはサラリーマンたちでいっぱいであった。新学期ということもあり、小・中・高校生やその保護者などで学校やその周辺の店は混雑していた。ホームセンターやスーパーは、品物で山盛りのカートを押す客ばかりだ。買いだめするなと言ってもみんなする。授業が休校となった大学生たちは、感染を地方や祖父母達に広めるからやめろと言っても、逃げるように夜行バスで地方の実家に戻っていった。やってはいけないことを思い切りやった初日であった。この状況をニュースや情報番組で流すだけで、「別に守らなくても怒られないよ!」という強烈なメッセージを日本中に与えることになる。これからの1か月の運命が、初日で決定づけられてしまった感じだ。
飲食業界やスナックなどの夜の店の業界団体は、補償を求めて自民党に直談判していた。働いている人達も、新型コロナのことは全く頭になく補償のことで頭がいっぱいだ。このような人達に、都知事や総理が「国のために」とか「みんなで協力して感染拡大を防ごう」と言えば言うほど、図に乗って営業するものだ。営業を1か月やめたら生活できなくなるアピールをし、ごねることで補償額を上げようという魂胆なのだろう。1か月の休暇など、ヨーロッパでは普通のことだ。
それからもう1つ。収入が大きく減ったという人は、言い換えれば0から見ると大きな収入がこれまであり、さらに言いかえれば貯蓄がけっこうある人達だ。その貯蓄を使って旅行に行ったり余暇を楽しんだり、あるいは老後の資金にまわしてきたはずだ。仕事を休んだとたん、お金がなくて生活できなくなるなどありえない(持病があって仕事がほんの少ししかできなかったなど、ごくまれな例外はあるだろうが)。
今、多くの国民の心が醜くなり、ばらばらになっている。金をよこさなければ、営業を続けてウイルスを拡散させてやるぞ!といった、脅迫まがいの極悪行動が当たり前となってしまった。携帯の位置情報からの分析によると、初日の昨日、自粛をした人は3割から4割だったという。これでは、緊急事態宣言を出さない時と同じように感染者が急増していくと専門家は言う。東日本大震災で見られた人々の協力は、思いやりのある東北地方の人々だったから見られた姿だったのであろう。決して日本人全体の姿ではなかったのだ。南海トラフ地震が起きた時、関東から中部、関西地方の人々は、海外のように暴動を起こしたり略奪をしたりするのだろうか。今回の振る舞いを見ていると、想像するのも恐ろしい。
感染者数の急増や人々の行動から判断して、今から爆発的感染拡大を防ぐことは不可能に近い。防止できるわずかな可能性として1つ考えられる。それは、急いで法改正をして海外のような都市封鎖をおこない、守らない人を拘束できる罰則を設けて徹底的にやるしかない(潜伏期間の3週間でよい)。政府や知事たちがお願いしたり自粛を緩めたりすれば、人というのは調子に乗ってどこまでも要求を高めてくるものだ。その人数も増えていくだろう。
多くを犠牲にしてがんばって自粛をしている人々、思考停止にならずに冷静な判断力がまだ残っている人々は、都市を封鎖して出歩く人を逮捕してほしいと望んでいるのではないだろうか。なぜならば、それ以外に今から医療崩壊を防ぐ道はないのだから。
市民の生活維持のために必要最低限の職種以外の仕事をすべて止めれば、不公平な補償要求もなくなるだろう。そして、平均月収の5割程度、無職の人には例えば生活費として1か月5万円程度補償すればよい。職種によって細かく対応すると必ず不公平感が出てくるし、もっとよこせと全員が言い出す。制度上給料面で絶対に新型コロナウイルスの影響を受けないような公務員等や年収1000万以上の金持ちには、血税を使って何かの補償をする意味はないだろう。