司会者の小倉智昭氏は、都知事の要請に対し「自営で飲食店をやられている方はどうすりゃいいんだって悩んでいると思いますよね」と話す。

 だから何だというのだろうか。自粛要請をやめろということなのか。税金で補助しろということなのか。自粛要請によって、自営の飲食店以外の多くの人が苦しんでいる。非正規雇用者やフリーター、そして正規の仕事を探し続けている大勢の無職の人達は、わずかな貯金を崩して税金を払い、自分の生活や将来を恐れながら部屋で過ごしている。飲食店をやっている人と変わってもらいたいと思っている人はたくさんいる。死んだほうが楽だと思っている人達が・・・。その人達の金(税金)を収入が少し減った自営の人にあげなさいと言うのか。店を売り、その金もなくなってから言うのであればわかる。

 しかし、金銭的な影響を受けない人もいる。例えば情報番組を作っているテレビ会社、そして司会者がそうだ。あまりにも生きている世界が違い、本当に困っている人の状況がわからないのだろう。

 1つ言っておきたい。今回のことで非正規社員達を首にした社長は「苦しい選択だった」という(苦しいのは無職にされた社員達で、社長はうれしい方なのだが)。店の経営者たちは「もう無理だ」「ぎりぎりだ」「政府が金をくれなきゃ自粛できない」という。このようなことを言う人に限って、まだまだ余裕があるのである。預貯金をわずかでもマイナスにしたくないだけである。本当に苦しい人と比べると、無理やぎりぎりの程度が違う。