クルーズ船の乗客に対する日本の対応に、世界のメディから批判の声が上がっている。1)クルーズ船内は隔離されていない(感染が広がっている)、2)対応が遅い、などというものだ。
2つ目の「対応が遅い」ということに対する反論は、すでにこのブログで書いた通りである。1つ目の認識は非常に重要である。
毎日多くの感染者が検査によって見つかっているから、日本は隔離に失敗したというのだろう。しかし、次の2点についてよく考えてもらいたい。
① 毎日検査をしたから感染者がわかってきた。検査体制が次第に整い徐々に検査人数を増やすことができたから次第に多くの感染者を発見することができた。このことは、横浜港についてから徐々に船内で感染者が増えていったことを示すものなのだろうか。
② 船内の感染者はいつどこで感染したのだろうか。横浜港についた後に誰かから感染したのであれば、隔離は失敗したという指摘は適切だ。そうであれば世話をするクルーや検査官などが媒介者の可能性がある。一方、多くの乗客が横浜港につく前に、多くの中国人(香港からの乗船者)と1日に何度も食事をしたり、ホールやロビー、劇場などの共通エリアで一緒に過ごしたり、感染者が触ったトイレのノブやテーブルなどに触ったりもしたであろう。食事中、咳をしながら食事をする中国人もいたという。感染力が強いため、次から次へと感染するのは当然だ。横浜港につく前に寄港した沖縄県民からも感染者が見つかっている。クルーや検査官はマスクや手袋をやっていたのに非常に多くの感染者がいることがわかった。以上のことから、横浜港につく前に船内ではすでに多くの乗客が感染していた可能性があるのではないか。
日本での隔離の仕方が悪いから横浜港についてから感染が広がったのか、それとも横浜港についた時点で、すでに船内にいる多くの人がウイルスに感染していたのか、検証が必要である。検証以前に、外国のメディアは前者だと決めつけて批判している。なぜ、外国のメディアは前者だとわかるのだろうか。
海外のマスコミによる批判もまた、日本のマスコミと同じように根拠のない感情論なのだろう。気にするに値しない。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」程度のレベルだと思うが、大勢で赤信号を渡られると、確かに正義の1人だけでは太刀打ちできないかもしれない。どこの国のマスコミも軽くあしらっておき、あとは政府同士で法に従って状況や事実を共有し合えばよい。
追記(2/21):「横浜港のクルーズ船について、国立感染症研究所などは感染が確認された乗客の多くが隔離を始めた5日より前に感染した可能性が高いという分析結果を明らかにしました。」(テレビ朝日のニュースより)