最近、テレビの食レポで、とてもおいしい時に声を出して笑う人が出始めてきた。そんな馬鹿なこと、不自然なことがあるだろうか。おかしな様態だ。

 人はおいしいものを食べた時、驚いた顔や笑顔になったりする。しかし、声を出して笑うことはない。おかしいことではないからだ。声を出して笑うのは、おかしい時だ。私は半世紀以上、テレビや小学校で多くの食べる姿を見てきたが、どんなにおいしいものや好きなものを食べたとしても、声を出しながら笑った姿を見たことはたったの1度もない。何かを食べて、ハハハと声を出しおなかを抱えて笑ったら、大丈夫か?と逆に心配になるだろう。

「おいしい」や「うれしい」と「おかしい」は違う。おいしい時は笑顔や驚いた顔になり、おかしい時は笑う。あなたも特定の場面を想像し、自分はどうか確かめてほしい。全員に納得してもらえると思うのだが。

 世界中の誰一人として、おいしい時に声を出して笑ったりはしないだろう。そもそもありえない行動で、自然にできたものではなく不自然に作られた、相手に違和感を抱かせる行動である。これは、食レポが上手にできないお笑い芸人が言葉に詰まり、苦肉の策でとっさに行ったつながりのない行動が始まりだと記憶しているが(その後もレポが上手でないお笑い芸人たちがやり続けている)、これが世間に広まり、日本社会のスタンダードとなってしまうのがとても悲しい。