木材を多用した新国立競技場が完成した。木材は鉄に比べて耐久性や防火性、安全性(破損や落下等)に劣り、メンテナンスも不可能に近い。さらによく見ると、鉄骨の代わりに木材を使っているのではなく、木材を鉄骨の上にはめ込んだり、鉄骨にねじで張り付けたりしているだけである。鉄骨で作り、あとから見栄えだけのために木材をくっつけた構造だ。天井の重量も必要以上に重くなったであろう。
設計者は、自然との調和、温暖化に貢献しているというが、大量の木材を伐採して自然を破壊し、耐久性や費用などをおろそかにしてまで、鉄骨に木材をくっつける必要があったのだろうか。競技場の周囲に木が多いから木材をたくさん使った建物を作るという発想は、あまりにも短絡的だ。木材を使わなくても、周囲の自然と調和がとれた設計はできるであろう。木材を中心とする隈氏の特徴は、競技場や高層ビル、レインボーブリッジのような巨大な建造物には不向きである。
今回、木材を使わずに一般的な材料で競技場を作った場合に比べ、欠点も無駄も多いものとなった。デザイン決定まで時間が無かったこと、ひいては運営機関の能力が原因であろう。東京オリンピック競技大会組織委員会会長の姿が目に浮かぶ。